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だが、ここで問題発生。
ジンの好みが分からない。
彼はどんな人間が好きなのだろうか。
俺の知る限り、彼はそもそも人間嫌いだったように思われるし(だとしたらもはや手の施しようがない)、とりあえず煩くはしない方が良いだろう。
そういえば、彼のことをアニキと呼び親しんでいたあの男──ウォッカはどんな人物なのだろう。存在感こそあったが、あまり焦点をあてられないキャラクターだったから詳しい性格や生い立ちは分からない。
だが彼が登場していたシーンでの印象を全てかき集めて言葉にるとするならば……ジンニキ至上主義でちょっと間の抜けたおバカさん、か？
おバカさんというのはなにも頭が悪いというわけではない。彼はそのなんというか、黒の組織幹部とは思えないほど変なところで素直というか、純粋な人物だった気がする。良くも悪くも、裏がなさそうというか隠し事が下手そうというか。
もしかしたらジンは、裏表のない人間が好きなのかもしれない。彼はきっとものすごく頭がいいから、裏がありそうな人を相手にするとどうしてもネズミじゃないかとかそんなことを考えてしまって疲れるんじゃないだろうか。
だから、少なくともジンの前では素直に彼を慕う態度を見せているウォッカが、ジンの相棒となっているのだろう……なんて、ただの考えすぎかもしれないが。
いずれにせよ、いくら考えたところで所詮すべては想像にすぎない。確実に好かれるタイプが分からない以上、下手にキャラを作ってそれがバレるのも恐ろしいからなるべく地のままの俺でいよう。
ただ、少しあからさまに好意を見せるくらいなら許されるかもしれない。あくまで、不自然にはならないように。
『ちょっと急用ができちゃったから、あとはお二人でごゆっくり』 なんて、お見合いの仲人さんのような台詞を口にしてそそくさと研究室を出ていってしまった教授に白い目を向けつつ、俺は心を固めたのだった。
絶対、ジンに、気に入られてみせる！
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作者名：櫂渦【とーか】
| 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/28997649
作成日時：2021年2月9日 19時
