サブチャンネル【短編集】

夜を手に取って ゆめまる(優は美味なつくだに 様リク) ページ45

ヤンキーガールの話です



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ゆめまるside


「…いたそう、」


そう言って耳を触ると、Aはくすぐったそうに、やめて、と言った。


俺の家に向かう途中、コンビニで煙草と発泡酒と軽いおつまみを買って、今は公園。Aがエモいことしようよ、なんて言って星空に発泡酒を掲げてみせたからだ。


『痛くないよ、慣れたし。』


さらさらのショートカットを揺らして、彼女は笑った。インナーカラーの金髪が透き通って、眩しくて目を細めた。
耳に9つ、あと舌。1ヶ月ごとに増えている彼女のピアス。おばあちゃんになる頃には全身ピアスになってるんじゃないの…？


「男ウケ悪いよ、」


『ゆめに見捨てられなかったらなんでもいいよ』


そう言って発泡酒を飲み干すAに、彼女らしいなあとしみじみ思った。
Aは可愛いのに『かっこいい』に憧れてるらしく、大量のピアスとか、タバコとか、酒とか、そういう治安の悪いものばかりをかき集めている。

彼女は死んだ目で俺のポケットを一瞥すると、手をこちらに伸ばした。


『ゆめ、煙草。』


「…はいはい。」


Aに煙草を渡して、まず自分のに火をつけてから彼女のにもつける、という動作を流れるようにする。阿吽の呼吸、だ。
ありがとー、って言って煙を吐く彼女の長いまつ毛が揺れる。
ふと思い立って、聞いてみた。


「…Aってさあ、男っぽいものが好きなのは分かるけど。普通に女の子っぽいものは好きじゃないの？レースとか…フリルとか？」


『んー、好きじゃないっていうか…なんか弱そうに見えるから嫌、みたいな？』


Aは困ったようにはにかんで首をかしげた。


「女の子は弱いくらいでちょうどいいよ？守りたくなる可愛さ的な、」


『…んーん、あたしがゆめを守るの。』


断言して、煙草の灰をとんとん、と落とす。


『ゆめはあたしの傍にいてくれたらいいの、怖い思いなんてなんにもさせないからー、』


結婚して、と肩に寄りかかって、顔を赤くして笑う彼女に、呆れ笑いで返す。お酒弱いのにかっこつけて飲むから…。


「だめ、Aに俺の人生任せらんないわ。黙って守られとけ。」


『んー…。』


美味しそうに煙草を吸った彼女が、月が綺麗ですね、って呟いた。


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治安悪い女の子可愛いですよね

リクエストありがとうございました。

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