第18話【経鳥しのぎ】 ページ19
物理講義室での準備もあらかた終えて職員室へ向かうと、途中で朝一で私を怒鳴らせた幼なじみと扉の前で鉢合わせしました。
無言で相手をにらみつけます。
……また煙草吸ってやがる。
「…何見てんだ、オラ」
「いいえ、別になんでもありませんが?
強いて言うならば貴方の近くにいると煙たくて、たいへん不愉快なだけです」
「この潔癖症め!地獄に落ちろ!!」
「まわりに暴力振るって副流煙まで撒き散らす、貴方が落ちればよろしいのですよ!!」
互いにガッと相手の胸ぐらを掴み、睨み合う。
…カガチの顔が目の前にあって非常に不愉快です。
まあ私の顔はガスマスクで隠れておりますのでカガチからは見えませんが。
そのまま実力行使の泥沼戦争に突入しようとした矢先、
「こらっ、職員室前で一体何をしている!教職員がそんなだと生徒にも示しがつかないぞ!!」
「……花石先生」
「…チッ」
示し合わせたワケでも無いのに、二人揃って腕を下ろしてしまう。
……こんなの、いかにも幼なじみですと豪語しているようで嫌なのです。
それもこれも全てこの煙草男のせいなのですよ。
大海に沈め。
とりあえず御立腹な花石先生に頭を下げ、職員室に入った。
続いてポケットに両手を突っ込んで入って来たカガチの足を思い切り踏みつける。
「ぐぉっ…!!」
人を一人殺していそうな目で睨んで来ますが無視無視。
「まあまあほらー、ええ加減喧嘩やめんと学園長に怒られますよ?」
「足羽川先生の仰る通りなのですよ。
あとは学園長先生がいらっしゃれば職員会議も始まりますから、貴方はとっととお黙りなさい」
もしくは永遠にお黙りなさい。
「テメエの!!せいだろ!?」
性懲りもせず駄犬のように喚く蟒蛇かがち。
……実に面倒です。
どのようにしてこの煙草男を黙らせようかと考えていると、ガチャリと音を立てて職員室に入って来た影。
「あら、だいたい皆揃ってるようね」
この学園で知らない者はいない、ウチの名物学園長、十咲文華先生。
「そっすよ、アンタが一番遅いんですから」
「……」
小声で悪態をつく不届き者に肘鉄を食らわす。
「ぐぁっ…!」
「私たちだって最後から二番目に入って来たでしょうが、五十歩百歩なのですよ。
なに偉そうな顔して悪態ついてるんです?」
「ふふ、元気そうで何よりね。
じゃあ今から職員会議を始めるわよ!」
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透明少女(プロフ) - 森のくまさんさん» 繋げてくれてありがとうございます! (2017年6月18日 2時) (レス) id: f62ecde1c9 (このIDを非表示/違反報告)
森のくまさん(プロフ) - 透明少女さん» りょーかいです。私は続編の方トップで描かせていただきました! (2017年6月18日 2時) (レス) id: e6afc3116a (このIDを非表示/違反報告)
透明少女(プロフ) - 訂正終わりました! (2017年6月18日 1時) (レス) id: f62ecde1c9 (このIDを非表示/違反報告)
透明少女(プロフ) - 後、自分の話見直して少し違和感あったので訂正させてもらいます! (2017年6月18日 1時) (レス) id: f62ecde1c9 (このIDを非表示/違反報告)
透明少女(プロフ) - *蝶葉*さん» 今度から気を付けます…。 (2017年6月18日 1時) (レス) id: f62ecde1c9 (このIDを非表示/違反報告)
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