【小説】十人十色に咲け、十色咲学園。ｰ1stｰ (ページ13)

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第12話【遊間陽菜】ページ13

「あ…！」

カバンのファスナーを開けて即気づく。

「ど、どうしよー…」

この漫画…

皐月先生に借りたままじゃん？！

借りた本は全部で3冊。

もう１ヶ月も借りてた…。

今なら保健室にいるかな？

そう思った私は即行動。

本を抱えて廊下をダダダダダダッと駆け抜けた。

*

コンコン

保健室前で息を整え、ノックをする。

「皐月せんせー………い？」

扉に手をかけた時に聞こえた怒鳴り声。

「コラァァァなんでこんな朝っぱらから…」

…蟒蛇先生だ。

てことは皐月先生…また泣いてるのかな？

そう思ったのだが、私は扉をガラリと開けた。

「皐月先生！本！１ヶ月も借りてました！ごめんなさい！」

目の前の光景は実にシュールだ。

蟒蛇先生が皐月先生の襟首を掴み揺すぶって、更には皐月先生は泣いている。

…まぁこの光景は見慣れてるんだけどね。

「あ、遊間さん？」

そう言ってこっちを見た皐月先生は可愛い。

先生…可愛い顔してますね。

毎度言いそうになるが、いつも我慢する。

「ごめんなさい。本、ずっと借りてました」

「全然いいよ～」

皐月先生は泣き顔からほわほわとした笑顔に変わった。

皐月先生は百面相だ…。

と思いつつ、蟒蛇先生に解放された皐月先生に漫画を3冊返す。

「感想はまた後でお伝えしますね。ありがとうございました！」

そう言って、保健室を後にしようとしたが、

「ちょうどイイな遊間。悪ィがこのプリント後で配っておいてくれ」

「物理のプリントですね。分かりました」

蟒蛇先生はどこからか出したプリントを私に渡した。

保健室を出て思う。

また押しつけられちゃった。

私は渡された物理のプリントを見て苦笑いした。