トイレの神様に逆らってみた 11

口をつぐむ弟 ページ11

六谷といえば、なんとなく恩朗のことを思い出す。かなりなついてたからな。
恩朗は口も悪いし、警戒心剥き出しだけど、人を見る目はあるんだよな。だから私もてっきり、六谷をいいやつだと思っていたんだけど。
いや、そもそも他人の価値観をベースにするのはよくないか。
とりあえず、恩朗に連絡してみるか。
「もしもし恩朗?」
「オレオレ詐欺ならもっと上手くやりなよ」
「お前私の番号登録してんだろう」
オレオレ詐欺とはひどい。
「相変わらず辛辣だなぁ」
「そりゃどうも」
「褒めてない」
「知ってる」
相変わらず可愛くない弟だ。
こういうやりとりをしていたらきりがないので、さっさと本題に入ってしまおう。
「なあ、六谷のことなんだが」
「無理」
即答。
「おいまだ何も言ってないぞ」
だが、電話は切られてしまった。

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