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人間はいつの時代も ページ20
「私たちを救うてくれなんだ、親たちを恨んだこともあった。だが、そればかりはどうしようもなかった。私たちの親は既に人柱にされ、世を去っていたのだから」
うわ、人柱家計かよ。照り焼きがそろそろ仕上げだな。
「もしかして、村八分ってやつ?」
「やもしれぬ。偽りの親に育てられたのだから、もうわからぬ。あの頃は恨みの念ばかりで、確認するどころではなかったからな」
そりゃそうだ。もしかして、藤と蓮の本当の親も、あの辺に埋まってるのかな。
「まあ、今より家族の情とか篤い時代だったんじゃない? 血の繋がりを大切にするというか」
「それでも切り捨てられる命もあろうよ」
何とも言えない。
「人は人を犠牲にして生きる。人柱にして。今も昔もそう変わらぬだろう」
「……そうだね」
私は静かにコンロの火を消した。
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作者名:瑠色 | 作成日時:2019年5月24日 19時