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24.5話_魔王の刻印_2 ページ5

「・・・それもそうだな。」

鶴丸さんは流し台の横に置いてある少し大きめの湯呑の半分くらいまで水を入れ、満作を

そっと挿した。

「・・・では、僕とお茶でもどうですか?」

宗三さんはそういうと立ち上がり、食器棚の中から湯呑みを取り出し、

急須の中に入ったお茶を注いだ。

「そうだな、頂くとするか。」

鶴丸さんは端に重ねられた椅子を二つとると、宗三さんが急須を置いた机の前に並べた。

「もちろん、主もだぜ!」

先に座った鶴丸さんが、立ったまま動けずにいる私の手を引き、椅子へ誘導した。

「失礼します・・・。」

私が座ると、宗三さんが緑茶を注いだ湯呑みを差し出す。

「先ほど淹れたばかりなので、まだ熱いですよ。」

宗三さんも座るのを確認すると、鶴丸さんは両手を合わせた。

「そういや、信長も政宗もこうやっていたなぁ。・・・いただきます!」

それに合わせて、私も呟く。

「いただきます・・・!」

宗三さんは、鶴丸さんのことを目を細めて見ていた。

「・・・信長・・・ですか・・・。」

その目が語る気持ちが分かったのか、鶴丸さんは口角を不敵に上げた。

「何だぁ?過去を思い出したか?・・・主に話をきいてもらったらどうだろう。」

「・・・そうですね、お小夜の話も聞いていただいたということだったので。
 主、よろしいですか?」

今度は私を見る宗三さんに目を合わせ微笑む。

「・・・はい、お聞きしますよ!」

そうして、宗三さんのお話は鶴丸さんと聞くことになった。

「・・・僕は、三好政長から武田信虎へ渡り、更に今川義元のもとへ行った。
 ・・だから、僕は『三好左文字』、『義元左文字』とも呼ばれることもあります。
 ・・・僕はそこで、『義元の愛刀』として、長らくいきてきました。
 ですが、・・・・1560年、義元が三河や遠江に僕を連れて軍を起こしました。
 ・・・その途中、桶狭間にて、義元は織田信長に討たれました。
 その時・・・信長は僕を手に入れた証拠に、茎・・・この胸に、魔王の刻印を入れたのです。」

宗三さんは自分を嘲笑うかの様な目でご自分の胸元を見つめた。

「・・・その後、僕は本能寺の変で信長が死ぬまで側に使えていました。
 そして、豊臣秀吉、徳川家康・・・と、天下を握る人間の元を渡ってきました。
 時には、焼かれたこともあった。・・・でも、その度に再刃されて・・・
 ・・・飾られていただけだったんですがね。」

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暖(いっと)(プロフ) - lightらいすさん» いえいえ、こちらこそしてもらったから笑 (2018年1月7日 22時) (レス) id: 0968e5e65f (このIDを非表示/違反報告)
lightらいす(プロフ) - 宣伝あざす……orz(土下座) (2018年1月7日 13時) (レス) id: 989c770060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 死音心音2.0さん» コメントありがとうございます!ありがたきお言葉です...!!これからも幸せを届けられるように頑張ります!!ありがとうございます!! (2017年10月13日 7時) (レス) id: cdcd4684fe (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - 主人公ちゃん、めっちゃ可愛いですなぁ(´∀`*)和睦とは、まさにこの事ですね!主人公ちゃんや刀剣達が幸せそうで、読んでるこっちまで幸せになります!これからも頑張って下さい!応援してます! (2017年10月13日 0時) (レス) id: 05a35df7aa (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - しろつめさん» コメントしてくださりありがとうございます!レスが遅れてしまい、申し訳ありませんでした。やっと更新ができそうです。一か月近くもすみませんでした。これからもよろしくお願いします! (2017年9月1日 21時) (レス) id: 0968e5e65f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年8月2日 23時

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