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24話_魔王の刻印_ ページ4

小夜くんから頂いた満作。

細く黄色い花弁が、赤黒い花托やがくからいくつも伸びている。

花言葉は、「幸福の再来」。

小夜くんの心の中で少しずつ芽生えている前向きな気持ちを見ている様な気がした。

「主、せっかくだからその満作を飾ろうじゃないか!」

鶴丸さんが庭から廊下に上がり、履いていた下駄を踏石の端に揃えて置いた。

「・・・はい。」

そういうと、鶴丸さんは満作を持っていない方の私の手を優しく握った。

勝色の手袋は降る雪によって濡れ、さらに濃くなっていた。

「まぁ、こんな季節だ。主の手も俺の手も冷たいが気休めにな。」

一歩前を歩く鶴丸さんは顔を私の方に向け、微笑んだ。

「・・・ありがとうございます。」

私も微笑んで、鶴丸さんの手を握り返した。


「さて、厨にならいい感じの花瓶くらいあるよな・・・?」

二人で厨に行ってみると、中には先客が。

「おや・・・?お二人で何かなされていたのですか?」

厨の中にある椅子に腰かけ、熱い緑茶をすすっていたのは、聴色の髪の毛を高めに緩く縛った

小夜くんのお兄様の一人、宗三左文字さんだ。

「ん?お宅の弟君がくれた、満作を飾ろうと思ってなぁ、丁度いい花瓶を探しに来たんだ。」

鶴丸さんが、握っていた手を宗三さんに気付かれる前にそっと離し、食器棚を見る。

「・・・そうですか、うちのお小夜が。・・・主、お小夜のこと、どうもありがとう
 ございました。」

小夜くんの話を聞いた宗三さんは心なしか優しい表情に見えた。

「い、いえ。」

宗三さんのそんな表情を見たのは初めてで、少し動揺してしまった。

「宗三、花瓶の場所は分かるか?・・・俺は厨当番が回ってこなかったから、
 どこになにがあるのか、全く分からないのだが・・・。」

「・・・花瓶もほとんど割られてしまいましたが・・・。
 まだいくつかは残っていたはず。貴方の目の前にある戸を前に引きなさい。」

鶴丸さんが言われた通りに目の前の扉小さな扉を開けると、中にはいくつもの木箱が。

「おお!結構あるぞ主!どうだ、宗三も一緒に選ばないか?」

奥から木箱をいくつも取り出しながら、鶴丸さんが問う。

「いいえ、僕は風流にあまり詳しくないので・・・。歌仙にでも聞いてみたらどうです?」

宗三さんが緑茶の茶請けとして用意していたお煎餅を器用に六つにパキッと割った。

「花瓶の柄については歌仙に聞くとして。満作はそこにある湯呑みにでも入れておいてください。」
 

24.5話_魔王の刻印_2→←あらすじ.5



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暖(いっと)(プロフ) - lightらいすさん» いえいえ、こちらこそしてもらったから笑 (2018年1月7日 22時) (レス) id: 0968e5e65f (このIDを非表示/違反報告)
lightらいす(プロフ) - 宣伝あざす……orz(土下座) (2018年1月7日 13時) (レス) id: 989c770060 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 死音心音2.0さん» コメントありがとうございます!ありがたきお言葉です...!!これからも幸せを届けられるように頑張ります!!ありがとうございます!! (2017年10月13日 7時) (レス) id: cdcd4684fe (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - 主人公ちゃん、めっちゃ可愛いですなぁ(´∀`*)和睦とは、まさにこの事ですね!主人公ちゃんや刀剣達が幸せそうで、読んでるこっちまで幸せになります!これからも頑張って下さい!応援してます! (2017年10月13日 0時) (レス) id: 05a35df7aa (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - しろつめさん» コメントしてくださりありがとうございます!レスが遅れてしまい、申し訳ありませんでした。やっと更新ができそうです。一か月近くもすみませんでした。これからもよろしくお願いします! (2017年9月1日 21時) (レス) id: 0968e5e65f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年8月2日 23時

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