25.5.5.5話_和睦の願い_4 ページ12
「私の・・・話ですか・・・・。」
私の過去は私なりに辛いものだった。
皆さんの苦しみに比べればちっぽけなものなのだろうけれど、
今も思い出したくないのに思い出させてくるように私の中を占領している。
江雪さんに話すのはまだ気が引ける気持ちもある。
何だ、こんなことか。と否定されることが当たり前になっていたから、江雪さんにもそのように思わせてしまいそうで正直怖い。
・・・でも、皆さんの過去を引き出して話していただいた分、私もしっかりと教えなくてはならないのだと思う。
「はい、またお時間のある時に、お話しますね。」
「・・・・ええ。」
穏やかに口角を少し上げた表情を崩さない江雪さん。
「・・・・江雪兄さま、主・・。」
戸を開けて入ってきたのは小夜くんと宗三さん。
「・・兄さん、話は終わりましたか?」
「ええ、・・・やはり、主は素晴らしい方に思います。」
「・・・そうですね。」
兄弟で話されているときの皆さんの表情は柔らかかった。
血筋の通った兄弟で無くとも、やはり同じ刀派として生まれただけあるのだろう。
「・・・もう夜も遅いし、主も寝たらどう・・・・?」
小夜くんが私の顔を覗き込むようにして見る。
「・・・そうですね、皆さん、本当にありがとうございました。」
「いえ、こちらこそ・・・。」
微笑んでくれる左文字兄弟の皆さんに微笑み返した。
「明日の、朝餉も一緒に広間で食べられるんだね・・・。」
小夜くんが小さく呟いた一言。
「お小夜。それがどうかしたのですか?」
宗三さんも不思議そうに問いかけた。
「・・・ううん。
・・主と、同じ部屋でご飯を食べて、兄さま達とお話しをして、一緒の家でこうして近くで
暮らして・・・。ありえなかったから、凄く嬉しいんだ。・・・今度は、こうやって
寄り添ってくれる人がいるんだね・・・・。」
私なんかに、嬉しそうな目で話してくれる小夜くん。
思わず鼻の奥が刺したように痛くなってしまった。
視界がぼやけて、涙目になっていると気付いた。
「・・・主?」
心配そうに江雪さんが私を見つめた。
「・・・ありがとうございます・・。
私も、皆さんとの日々がものすごく楽しみです・・!」
きっと、まだ私に納得していない方もいらっしゃると思う。
だから、明日また皆さんに会うと全てがリセットされてしまうような気がして心配だった。
・・・でも、小夜くんがこう言ってくれたから大丈夫。
もう、本当に独りじゃないんだ。
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暖(いっと)(プロフ) - lightらいすさん» いえいえ、こちらこそしてもらったから笑 (2018年1月7日 22時) (レス) id: 0968e5e65f (このIDを非表示/違反報告)
lightらいす(プロフ) - 宣伝あざす……orz(土下座) (2018年1月7日 13時) (レス) id: 989c770060 (このIDを非表示/違反報告)
暖(プロフ) - 死音心音2.0さん» コメントありがとうございます!ありがたきお言葉です...!!これからも幸せを届けられるように頑張ります!!ありがとうございます!! (2017年10月13日 7時) (レス) id: cdcd4684fe (このIDを非表示/違反報告)
死音心音2.0(プロフ) - 主人公ちゃん、めっちゃ可愛いですなぁ(´∀`*)和睦とは、まさにこの事ですね!主人公ちゃんや刀剣達が幸せそうで、読んでるこっちまで幸せになります!これからも頑張って下さい!応援してます! (2017年10月13日 0時) (レス) id: 05a35df7aa (このIDを非表示/違反報告)
暖(プロフ) - しろつめさん» コメントしてくださりありがとうございます!レスが遅れてしまい、申し訳ありませんでした。やっと更新ができそうです。一か月近くもすみませんでした。これからもよろしくお願いします! (2017年9月1日 21時) (レス) id: 0968e5e65f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:暖 | 作成日時:2017年8月2日 23時