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その後、一同は夜になってから沿岸部に位置する倉庫に移動し、虎の襲撃を待っていた。
「⋯⋯本当にここに現れるんですか?」
「本当だよ」
『そもそも今日来るかどうかも⋯⋯』
「いや、今日確実に虎は現れる」
そう言われさらに不安な顔をした敦と天使を見て太宰は少し微笑んだ。
「心配いらない。虎が現れても私の敵じゃないよ。こう見えても武装探偵社の一隅だ」
その太宰の発言を聞いて敦は自嘲気味に笑った。
「凄いですね。自身のある人は。僕なんか孤児院でもずっと駄目な奴って言われてて⋯⋯。
そのうえ今日の寝床も明日の食い扶持も知れない身で」
そう言う敦の脳裏に孤児院の院長に言われた言葉が鮮明に浮かび上がる。
───天下のどこにもお前の居場所はありはせん⋯⋯。
───この世から消え失せるがいい。
「こんな奴がどこで野垂れ死んだって、いや、いっそ食われて死んだほうが⋯⋯」
『敦君⋯⋯』
天使が敦の顔を覗き込むと、その頬は濡れていた。
それはいつ虎に襲われるかわからないという恐怖感から流れる汗のせいだけではない。
太宰はそんな敦を複雑そうな顔で見つめてから窓に映る月に視線を移した。
満月。
孤児院が襲撃された日も満月だったそうだ。
「さて⋯⋯そろそろかな」
その時、敦と天使の背後でガタンと音がした。
『わっ』
「今⋯⋯そこで物音が!」
「そうだね」
「きっと奴ですよ太宰さん!」
「風でなにか落ちたんだろう」
『どうしてそんなことが分かるの?』
「⋯⋯そもそも変なんだよ」
そう言うと太宰は読んでいた本を閉じた。
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暁月臨(プロフ) - 凄く面白いです!更新待ってます!! (6月24日 16時) (レス) @page16 id: 59dc159e7e (このIDを非表示/違反報告)
雪ん子(プロフ) - 凄い好きです❗️続き待ってます! (2023年4月26日 17時) (レス) @page16 id: fa924563b5 (このIDを非表示/違反報告)
クラスペディア(プロフ) - 面白かったです!更新待ってます✧*。 (2022年12月22日 13時) (レス) id: d83e92e5af (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - 面白いです✨ (2022年12月20日 5時) (レス) @page14 id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)
響輝@お気に入り400人突破ベリサンキュ(プロフ) - 面白かったです。続き楽しみにしてます (2022年11月24日 0時) (レス) id: d6b5ec7764 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:棘屋 | 作成日時:2022年11月21日 7時