ツナマヨ、 ページ18
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「……A先輩、すいませんでした」
「伏黒くん」
「俺、」
「そんな顔しないでよ。言ったでしょ、先輩だからかっこつけたかっただけだって」
「でも」
「大丈夫だよ、元気だし」
申し訳なさそうに眉を下げる彼は、まるで犬だ。
きっと、私のことをずっと警戒していたから、その罪悪感もあるのだろう。
(優しい人ばっかりだな、ここは)
くしゃ、とその癖のある髪を撫でると、伏黒くんの瞳が大きく開かれて。
「心配してくれてありがとう」
私が笑うと、彼はパチパチと瞬きをした。
「おかか!」
ぐい、と腕が引かれて、棘くんが間に入ってくる。
拗ねたように私を見る姿はかわいい。
「いくら、」
「ごめんごめん」
わしゃわしゃと今度は彼のサラサラの髪を撫でると、いじけながらも大人しく撫でられていた。
「なぁパンダ、私たち邪魔か?」
「そうみたいだな…」
「A先輩もあんなに優しく笑うのね」
「……、」
「伏黒、いつまでぽかんとしてんだ?」
「えっ、いや、」
「何だ〜?さっそく三角関係か?いいぞいいぞ」
「違いますよ!」
「おかか!!」
「ちょっ、違いますって!!」
私も気付けば、笑っていた。
何やら伏黒くんと言い合いを始めた棘くんに、ぎゅう、と抱きしめられて前が見えないけれど。
「棘くん、大好きだよ」
小さく呟くと、棘くんの腕が緩まった先で、彼の頬は真っ赤に染まっていて。
また皆がガヤガヤと騒ぎ始めた病室で、私は、ひとり幸せを噛み締めていた。
____どうかいつまでも、君と。
ツナマヨ、【狗巻棘】 Fin.
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ノω・、) ウゥ・・・ - 面白かったァ(´;ω;`)後日談求む (2023年4月27日 16時) (レス) @page19 id: 6fd33d2e78 (このIDを非表示/違反報告)
花瓶 - この小説一気読みしました!すごくおもしろいです!!もう真夜中に泣いちゃいました、、、(´;ω;`) (2022年3月19日 23時) (レス) @page19 id: 0f43647906 (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 凛櫻さん» ありがとうございます!素敵だと言っていただけて感無量です!コメント本当にありがとうございました…! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
日向(プロフ) - 癒姫さん» わああ泣いてくださったとは…!そう言って頂けてとても嬉しいです!コメントありがとうございました…! (2021年1月23日 22時) (レス) id: 518bab79dd (このIDを非表示/違反報告)
凛櫻 - 完結おめでとうございます!素敵な作品をありがとうございます! (2021年1月23日 14時) (レス) id: c829f486b3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:日向 | 作成日時:2020年12月27日 21時