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「すまない。本当に」
「いいよいいよ。気にしないで。それより千くん大丈夫?熱は?高いの?」
「八度五分だ。とても苦しそうだ」
「とにかくお大事にして。千くんが元気になったらみんなでケーキ食べよう」


 十二月二十五日。仲睦まじく手を取る恋人たちが溢れ返るそんな日。まるで自分達だけがこの世界にいるような、二人だけだと錯覚してしまうような一日。
 毎年、杏と千くんと過ごすのだが、杏が所属する剣道部が急に練習試合となってしまい、さらには千くんが風邪を引いて高熱。
 家が隣の同士の私たち。窓を開けて少しだけ顔を出せば杏の部屋。冷たい空気に白い息が溶けて淡くなる。
 深まる冬の音、匂い、輝き。人肌が確かに恋しくなる今日この頃だが、こちらが申し訳なくなるほどに凛々しい眉毛を下げる杏を見ると、気にしないで、というしかなくなる。


「ほら。もう行かないと間に合わないよ」
「……二人だけで、少しだけでも、どうだ?」
「千くんが泣いちゃうよ。ダメ」
「……はは。そうだな……行ってくる」


 シュンと肩を落とす杏の表情は晴れなかった。「本当にすまない」と再度、口にした杏の背中はやけに寂しそうに見えてしまった。もう十年ぐらい一緒にクリスマスを過ごしているからか。異様に残念がる杏が不思議だった。
 杏を見送り、時計を見ればまだ午前九時を少し過ぎた頃。溜まってるドラマを見て、それから昨日買った雑誌を読んで。あとは、って考えてみるものの良い案は出てこない。
 両親は共働きであり、帰宅するのは恐らく夕食時を有に過ぎる頃。暇を持て余す、とはこのことだ。だからといって、杏や千くんを責めるわけにもいかない。どうしたものかと頭を抱えた。
 とりあえずケーキでも買いに行こう、と身支度を始めた。その間に、どうせなら少し遠いところに行ってみよう、さらには欲しかった少しお高いコスメを買おう、帰りはタピオカ屋さんにも行こうと思いついてしまった。
 そうとなればワクワクと浮き足立つ単純な私だ。ちょっとだけ髪の毛も巻いて、お気に入りのアウターにブーツ。生地の羽毛のようなふわふわ感と控えめなチェック柄のマフラーを巻いて家を出た。
 

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設定タグ:鬼滅の刃 , 宇髄天元 , 煉獄杏寿郎   
作品ジャンル:恋愛
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三月の専属ストーカーなつめみく - れんごくさんがむせるとよもっ、って可愛すぎて一人で悶絶するわ (10月25日 16時) (レス) @page3 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ひよさん» ひよさん、またお会いできて本当に嬉しく思います、そしてコメントもありがとうございます(;_;)天元様と夢主のキラキラして輝く瞬間と2人の葛藤を書けていけたらな、と思っております。ゆっくりではありますがお付き合い頂けると嬉しいです!よろしくお願い致します! (2022年5月5日 18時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 蓮さま、新作ありがとうございます!! 学校のアイドル、天元さまは似合いますね♡ 純な夢主ちゃんと天元さまの恋がどう進むのか楽しみです。更新はどうか、無理のないペースで!! (2022年4月29日 20時) (レス) @page7 id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2022年4月24日 14時

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