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「Aちゃんはどんな恋がしたい?」
「恋?」
「こんなデートがしたいとか。彼氏にすんならこういう奴がいいとか。なんかねぇの?」
「うーん一緒においしいものを食べたりお出掛けしたりたくさん笑ったり。普通でいいからいっぱい笑いたいな」
「そっか。俺と一緒じゃん。お揃いだな」
「嬉しい、天元くんとお揃い」
それからお互いの質問コーナーが始まった。好きな食べ物、好きなタイプ、今行きたいところ、お互いの誕生日、等々。
天元くんのことを知れる度に胸がいっぱいでたまらないのにもっともっと彼が知りたいと欲張ってしまう自分に呆れてしまった。
「あーもうこんな時間か。体感まだ二十分なんだけど俺」
「本当だ。早いね」
机の上の時計を見れば、長針が十一を指していた。天元くんの言う通り体感は二十分だ。明日は朝練かと訊けば、「そうだ、朝練だわ」とげんなりとした声が聞こえた。朝が早いのに悪いことをしてしまったと罪悪感に駆られていれば、「ありがとう」と彼は言った。
「Aちゃんの声聞いたから俺明日は無敵だわ派手に」
「本当に?無理してる」
「無理してねぇよ。まじで頑張れる。ありがとな」
私を気遣ってかけてくれる言葉たちと彼の底がない優しさと思いやりに苦しくなるくらい嬉しさが込み上げてきた。
「また明日な」
「うん、おやすみなさい」
「また電話しような」
「うん、絶対。約束ね」
「おう。じゃあな」
「うん」
「切ねぇな、なんか」
「切りたくないね」
「そういうとこだぞ、Aちゃん」
はあ、と態とらしい溜め息が聞こえた。すると、「せーので切るぞ」と言うので、三、ニ、一、と声を合わせたが結局切れずまた二人して大きく笑った。結局のところ三十分程うだうだとだらけながら話をして天元くんから通話終了ボタンを押してくれた。
「Aちゃんおやすみ」と最後に言ってくれたおかげで私はしばらくの間、呼吸もままならい状態で呆然としてしまった。好きな人からのおやすみは効果抜群のようだ。
次の日、寝不足で出来た隈をなんとかコンシーラーで隠して登校すれば朝練終わりの天元くんとちょうど廊下で会ってしまった。
「おはよう」と笑う天元くんは私にオレンジジュースのパックをくれた。それは昨日の電話で私がオレンジジュースが好きだと話したからだと思う。贈ってくれたことも勿論、嬉しいのだけれど些細な会話を覚えてくれていたということが嬉しくて朝から胸がいっぱいになった。
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三月の専属ストーカーなつめみく - れんごくさんがむせるとよもっ、って可愛すぎて一人で悶絶するわ (10月25日 16時) (レス) @page3 id: ba14ff85c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - ひよさん» ひよさん、またお会いできて本当に嬉しく思います、そしてコメントもありがとうございます(;_;)天元様と夢主のキラキラして輝く瞬間と2人の葛藤を書けていけたらな、と思っております。ゆっくりではありますがお付き合い頂けると嬉しいです!よろしくお願い致します! (2022年5月5日 18時) (レス) id: 1ceb99e799 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 蓮さま、新作ありがとうございます!! 学校のアイドル、天元さまは似合いますね♡ 純な夢主ちゃんと天元さまの恋がどう進むのか楽しみです。更新はどうか、無理のないペースで!! (2022年4月29日 20時) (レス) @page7 id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:蓮 | 作成日時:2022年4月24日 14時