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第十戦 「二人の違い」 流血注意 ページ31

「さすがに武道の心得もあるんやね」

「言葉通じてるか…?」


藤弥の言葉も無視して途切れ途切れに大和は話を続ける


「ははは…背中痛い……頭痛い…」


から笑いのあと、大和は横目に座り込んだ藤弥の方を見た

彼は頭から流れる血をハンカチで拭き取っていた


「血落ちんようになるで」

「いいんだよ、このまま保健室に行く方が事件だ」


そう言い、血を拭い続ける

しかしなかなか止まらないものでハンカチの方が真っ赤になっている

 しばらく沈黙が続いたあと、大和が再び口を開いた


「俺、二週間前にお前が桜に泣かされてる見たんやけどさ」

「……泣いてねえ」

「いや、泣いてたやん」

「泣いてない」


必死に泣いていないことを主張しているがあのとき本人は

涙が零れないように顔を顰めていた、と大和は認識している

そして藤弥の言葉は嘘で強がりなのだろうと思っている


「なんで強がるん?

苦しいことは正直に言葉にして表わしたらええやん

行動に表わさな相手には伝わらんで」

「俺がお前みたいな奴だったらそうしているさ

けれど……俺には無理だ」


俯き悲しむように目を細めた

涙の代わりに額から通り血が床に零れた


「…やっぱそうゆーとこ嫌いやわ

辛気臭いわぁ……」

「お前とは違うからな」


そんな藤弥の呟きを体育館の二階から見ていた者が一人――……









「お前とは違う、ねえ……ずいぶん開き直ったことを言うもんだね」

「梅か……中立組が何の用だ」


梅は今回の争奪戦で首都に興味がない中立組のリーダー的な存在だ

梅は肩につかないほどの真っ直ぐな髪をサラサラと揺らしながら藤弥の近くに寄ってきた

その姿に桜の姿が一瞬重なり苦しそうに眼を細めた


「用がないなら帰る」


逃げるように立ち去ろうとするが声をかけられ仕方なく立ち止った


「明日、あんたは桜に負けるよ

今のあんたのままだったら確実にね」


その言葉に藤弥は鼻で笑った

そして梅の方に振り向き呟いた


「桜に負けるなら本望だよ」


彼が梅に見せた笑顔

それはひどく悲しいそうで目が笑っていなかった

一言だけ言うと藤弥は保健室に向かっていった


「アホぬかせ」


舌打ちのあと梅は言った

最終戦 「屋烏の愛」→←第十戦 「二人の違い」 暴力・流血注意


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緋寄@紅鬼姫(プロフ) - 紫陽花さん» コメントありがとうございます。はい、僭越ながら参考させて頂いています。 (2016年12月10日 23時) (レス) id: a5647f01ce (このIDを非表示/違反報告)
紫陽花 - これってよとしち学園の漫画を参考にしていますか? (2016年12月5日 22時) (レス) id: 3aaa89a69c (このIDを非表示/違反報告)
緋寄@紅鬼姫(プロフ) - サシャさん» 見ためヤンキーw3人でたまってたら寄りつき難いでしょうねw (2016年7月27日 21時) (レス) id: 1715c75c22 (このIDを非表示/違反報告)
サシャ - ありがとうございます!この3人は見た目だけヤンキー(笑) (2016年7月19日 0時) (レス) id: d7042e5317 (このIDを非表示/違反報告)
緋寄@紅鬼姫(プロフ) - サシャさん» 「物語」か「後夜祭」でほのぼのはやります!後夜祭では都道府県たちの演劇と模擬店などの様子をやるのでおそらくその時にしますね! (2016年7月17日 20時) (レス) id: 1715c75c22 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅鬼姫 | 作者ホームページ:https://twitter.com/Enphnium  
作成日時:2016年4月30日 21時

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