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Aの頬に手を添えて親指で涙を拭えば、やめてください、顔を背けようとする。

それをさせないように、グッと両手で顔を掴み、無理やり顔を合わせる。


「ん、なに泣いてんの……っと、泣いてるんじゃなかったっけ?ゴミとってあげるから見せて」
「っあ……」
「(うわぁ………)」


悠仁が居るのなんてお構い無しに、顔を近付ける。

Aは涙で濡れた瞳をギュッと目を瞑るから、目じりに溜まっていた涙が零れ落ちる。


「……目瞑れるなら、ゴミ取れたんだね」
「そ、そうですよ!」
「先輩、大丈夫?」


Aは、少しムキになってうっすら赤く染った顔を強く横に振る。

悠仁の声に、ごめん、大丈夫だよ、とぎこちない笑みを浮かべては、飲み物買ってきます、と立ち上がり部屋を出て行った。


「…」
「…」


悠仁ですら喋らなくなったこの部屋はものすごく静かで少し寒い。

暫く時間がたってから、あのさ、と悠仁が口を開く。


「どうした?」
「……五条先生って、A先輩のこと、好きでしょ」
「っ、やだなぁ、悠仁ぃ、先生…と、生徒だよ?それに僕はAが小さい頃から知ってるんだから」


ないない、なんて乾いた笑い声を上げてチラリと隣の悠仁を見る。


「ぇ…」


苦笑いしてんのか、それとも真顔なのか、どちらかかと思っていた僕の目に映ったのは、特訓最中の、集中した時の真剣な表情の悠仁。

でも、今までのソレと明らかに違ったのは、瞳に怒りの色が揺らめいていたこと。

思わず動揺して、顎から手が離れる。


「あのさ、五条先生のそういうとこ、俺、よくないと思うんだよね」


此方を一瞥して、少し冷たい声音でそう言った悠仁は、学長の呪骸を抱えて、ソファに腰をおろし、テレビの電源を入れて、ビデオを機械に差し込んだ。


「(僕の、こういうところ………?)」


それ以上は語る気は無いとでも言いたげに、映画に夢中になる悠仁。

ソファの裏にもたれかかり、天井を見上げる。


悠仁には、Aが泣いていた理由が、分かったんだろうか。


モヤっとしたその気持ちをしまい込んで、立ち上がり、悠仁の頭を2回ほどポンポン、と叩いてじゃあ僕は1回戻るね、とだけ告げて部屋を出た。


………

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- 更新待ってます...! (2020年11月7日 11時) (レス) id: 8ab799c49a (このIDを非表示/違反報告)
ささまめ。(プロフ) - 豆腐さん» あ!ありがとうございます!!すぐに訂正しますね!!! (2019年11月8日 19時) (レス) id: 953be4ace3 (このIDを非表示/違反報告)
豆腐(プロフ) - 優太ではなく憂太ですよ (2019年11月1日 11時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ささまめ。 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/sakuhi/  
作成日時:2019年7月25日 18時

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