轟くんの彼女11【轟焦凍】 (ページ7)

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455.ロミオとジュリエット5 ページ7

轟｢なるほどな。これは気付かんかった。奴もそろそろ魅惑のお嬢さんと添い寝など所望致(しょもういた)す年頃だったか。｣

芦｢なんですその言い方は。イヤらしい。｣

轟｢やらしいことがあるか。俺は奴ぐらいの年にはとっくに添い寝生活を堪能(たんのう)してたぞ。｣

尾｢なんですって。｣

轟｢落ち着け、お前と知り合う前の話だ。｣

芦｢それでベンヴォーリオ、お前は？｣

尾｢いえ、奥様、そのような、私の添い寝の所望(しょもう)致したく所存(しょぞん)などはまだ、その、十分お聞かせできるほどの。｣

芦｢何を言っているの、そうじゃないよ。｣

尾｢はい？｣

芦｢ロミオの煩(うれ)いの元種(もとだね)がどこにあるか聞いてくれたの。｣

尾｢すいません。つい動転しました。実は私にさえ打ち明けようとしないのですが、千載一遇の好機、ロミオが歩いて来ます。再度確認を試みますから、お二人はひとまずあちらへ。｣

芦かよろしく頼みますよ。ロミオの親友として頼りにしているのだから。｣

轟｢もちろん組の若頭としても頼りにしておるぞ。｣

尾｢ロミオ、グーテンモルゲン。｣

水｢グーテンモルゲンはドイツ語でおはようって意味です。｣

緑｢なんだベンヴォーリオか。まだ朝だっけ。｣

尾｢ちょうど鐘が9時を打った所だ。｣

緑｢そうか、悲しいと時間が進まないものだね。それより今、父さんが居なかったか？｣

尾｢もう行った。時間が進まないと困るだろう。｣

緑｢たいして困らない。｣

尾｢じゃあ、なぜ浮かない顔をしてるんだ？｣

緑｢留まる時間には困らないが、出来ることなら時を忘れるほど幸せになりたい。｣

尾｢どうすれば幸せになれる？｣

緑｢分かってるくせに。｣

尾｢美しいお姉さんが。｣

緑｢いや、お姉さんじゃない。｣

尾｢優しい妹か。｣

緑｢そう、年齢だったら優しい妹。でも妹では駄目だ。妹では満たされないものが世の中には沢山あって、僕達いつもさ迷い歩き家族だけでは生きていけない。そんな時、血が繋がらないおかげで満たされる精神世界もまたあるんだよ。｣

尾｢いったい、いつ出会ったんだ。｣

緑｢なんだベンヴォーリオ、知ってるくせに。｣

尾｢するとロミオが、目隠しのキューピットはひどい、と叫んでしまった3日前。｣

緑｢そうかもしれない。まあ良いじゃないか。｣