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「頭を撫でられるのが好きなこととか、嘘をつくと目を逸らすこと、お酒は好きじゃないこと、あとは…、」
フッと笑って目元が優しくなる。
あぁ、その目元もだいすきだったんだ。
「だれよりも俺の事が好きで、忘れられない事。」
『そんなわけ……っ、』
「じゃあ、俺の目を見て言ってみ？」
『…………せ、センラの事なんて、き、きら……』
モゴモゴとして言葉が出てこない口。
ハッキリしろ。ウジウジしてるなんてらしくない。
けど、嫌いなんて面と向かって言えるわけない。
「きら？」
『……きら、』
ニマニマと言えない事が分かってるのか楽しそうに見つめてくるセンラは本当に意地汚いと思う。
だから顔も性格もいい癖に私以外にモテないんだよ。
まぁ、学校の後輩や会社の部下に告白されてきたのを知らないわけじゃないけれど。
年下の女の子達にきゃーきゃー言われて、嬉しそうにしてるのも気に食わないのよ、本当に。
……なのに、ムカつくのに。
『…………嫌いになんて、なれないに決まってる。』
何年間ものあいだ、どれだけ私がセンラの事を好きだったのかなんて知らないでしょ。
『私の名前を呼ぶ声も、私を見つめる優しい目も、』
『10年間もセンラの全部が好きだったんだもん。』
そんな簡単に嫌いになれたら苦労しない。
寝ても覚めても思い浮かぶのはセンラの顔で、街中で黄色を見つける度に貴方の面影を探していたの。
『だいすきだよ、ずっと。』
「……なんなん、それ、狡いやん。」
赤くなった顔を隠すように手のひらで目元を覆うセンラ。そんな姿すらも愛おしくなってしまって。
『…………お互いさま。』
ネオン街の煌びやかな光に隠れるように、
２つの影が重なった。
それはそれは月が綺麗な夜だった気がする。
．
貴方に会えて幸せだった。
会いたくない会いたい/上野 優華
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ほさと - とても感動しました。占ツクの歌い手様を扱った作品には珍しくしっかりと小説になっていて、一介の読書好きとしても嬉しかったです。どの作品もとても美しい比喩があり、音読したい作品だなぁと思いました。 (2019年7月14日 20時) (
レス) id: fdc2472f82 (このIDを非表示/違反報告)
弓乃 - 皆様の素晴らしい文章に心が震えました。ありがとうございます。執筆お疲れ様でした。これからも頑張って下さい。 (2019年6月17日 16時) (レス) id: d99258de7b (このIDを非表示/違反報告)
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