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君に誓う12 ページ44

先程Aの姉の墓前で『一緒にいて欲しい』とは告げたが、あれはプロポーズなんかじゃない。

それはもっと違う機会に告げたい。

ただ…本気で悩む事がある。

自分の過去、彼女の職業。

それらを照らし合わせた時、一緒になって彼女を笑顔のまま過ごさせてやる事が出来るのか。

自分らしくもない。

事、彼女のことに於いては人一倍悩んでしまう体質らしい。

「……困ったもんだな」

「何が…?」

おぶったままのAに、自分の自嘲めいた言葉への返事をされ、銀時は軽く振り返る。


「何でもねぇよ。…それより、このままだと万事屋直行コースでいいのか?」


「うん…銀時と一緒に居たいの。」


「ほー、俺の部屋で甘えたいんだ?」


「うん…そう。」


言いながら回した腕に力を込めるA。


背中越しに伝わる温もりに、銀時の体温が上がっていく。


(さっきの酒の回りか…? って、違うか)


苦笑していると、間もなく万事屋に辿り着く。


戸を開けて電気をつけ、Aを居間のソファーの上に下ろすと、彼女は大人しく座って膝を抱えた。


その表情が少し翳っている事に疑問を抱き、彼女の隣に腰を下ろす。


「何があった?」


肩を抱き、優しくこめかみにキスを落とす。


よく見ればAの頬は若干赤みが差しており、自分の大好きな緋色も少しだけ水分を含んでいた。


その表情が酷く扇情的で、銀時の心臓が大きな音を立てる。


「…っ」


「…あ、のさ…銀時…。何で…その、手を出してこないの…?」


「………は?」


真っ赤になって潤んだ瞳で上目遣い。


こんな可愛い女がいたら、男は誰だって我慢が出来ない。


自分とて例外ではなく。


「…何か、言われたか?」


「んーん…誰にも、何も。


銀時はいつも私に優しい…でも、あたしがお子様だから、だから手を出さないんじゃないかって、」


「…………」


「…それとも、あたしがそーちゃんと…っ!?」


最後の言葉は驚愕に満ちていた。


Aの肩をそのまま押し。


畳の上に押し倒した状態で、銀時が彼女を見下ろしていたから。


逆光に見える彼の緋色は、酷く男の色を宿していて。


「…ッ」


Aは小さく息を呑んだ。


こんな表情知らない。


こんな『男の顔』なんか、彼は一度も見せた事がない。

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あつぽん(プロフ) - アルハさん» ありがとうございます!!!私としてもすごく思い入れのあるこの作品についてそういうコメントいただけるのはすごくうれしいです!これからもよろしくお願いしますね(*^_^*) (2016年12月7日 11時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 1から読みました!話に引き込まれていって凄く面白かったです!!最高!!! (2016年12月3日 14時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - みゅうさん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけるなんて本当に嬉しいです。励みになります!これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年8月25日 15時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - あつぽんさんの作品は全て読ませてもらっています!どれも面白くて大好きですっ!これからも頑張って下さいq(^-^q)応援しています(*´ω`*) (2016年8月2日 19時) (レス) id: ad4e56f403 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 月夜さん» おおおお!総悟&神威好きに出会えるとは!!わたしも大好きなので、喜びのあまりにやにやがとまりません(笑)実は私の作品、神威が活躍するの多いんですよ(笑)これからも楽しんでいただけると嬉しいです♪ (2016年7月4日 21時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あつぽん | 作成日時:2016年2月6日 10時

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