第57話 ページ13
「これ、始末書。あとそーちゃんの名前書くだけだから。」
「ん、」
「明日の朝までに土方さんのとこ持ってってね。」
いつもならここで”お前が持って行きなせェ”とか”めんどくせーな”とか、文句の一つでも出そうな彼だが、今日は「あァ」と短く返すのみ。
――沖田side
いつのまにかあの日から3週間。
「じゃあ、お願いね」
「おー」
隊務で最低限の会話は交わすが、それ以外はほとんど話していない。
出口へ向かうその背中がひどく遠く感じる。
「……」
…昔から喧嘩をしても飯食って寝りゃ、次の日にはケロッとしたAが話しかけてくるから、こんなに長いこと喧嘩したままなのは初めてだ。
考えてみれば、自分から謝ったことなんて本当に数える程度で、仲直りするのはいつもAからだった。
「じゃ、」
(今回ばかりは俺から謝らねェどうにもならねェよなァ)
「おい、A……ッ」
そう思って、彼女を引き止めるも、
「……何?」
「……」
「呼んだだけ…?」
”ごめん” ”話したい” その一言がいつも出ない。
「何もないなら、行くね……」
「……」
「おやすみ」
俺の部屋の襖を丁寧に閉めたAの足音が遠ざかっていく。
「……はァ」
”あれ……副隊長、また残業スか?”
”うん。でももう終わったよー。田中くんは?”
”自分は自主練ッス。”
”おおー、偉いねー!!”
”で…明日は非番なんで、鈴木の部屋でこれから飲み会してきます!”
”ええー!いいなー!”
”副隊長も来ます?”
”あたし明日も明後日も仕事…”
”じゃあ副隊長の分まで飲んできますねー”
”もー、飲み過ぎないでよー”
”了解っス!”
廊下を少し行っところで彼女の足音が止まり、誰だかと談笑する声がわずかに聞こえ、我ながら理不尽だとは思うが、それがますます俺をいらだたせる。
「なんだってんでィ…」
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あつぽん(プロフ) - アルハさん» ありがとうございます!!!私としてもすごく思い入れのあるこの作品についてそういうコメントいただけるのはすごくうれしいです!これからもよろしくお願いしますね(*^_^*) (2016年12月7日 11時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
アルハ(プロフ) - 1から読みました!話に引き込まれていって凄く面白かったです!!最高!!! (2016年12月3日 14時) (レス) id: 5e4beefb64 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - みゅうさん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけるなんて本当に嬉しいです。励みになります!これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年8月25日 15時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
みゅう(プロフ) - あつぽんさんの作品は全て読ませてもらっています!どれも面白くて大好きですっ!これからも頑張って下さいq(^-^q)応援しています(*´ω`*) (2016年8月2日 19時) (レス) id: ad4e56f403 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 月夜さん» おおおお!総悟&神威好きに出会えるとは!!わたしも大好きなので、喜びのあまりにやにやがとまりません(笑)実は私の作品、神威が活躍するの多いんですよ(笑)これからも楽しんでいただけると嬉しいです♪ (2016年7月4日 21時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あつぽん | 作成日時:2016年2月6日 10時