検索窓
今日:14 hit、昨日:7 hit、合計:186,079 hit

第6話 ページ8

年の割りに大人びていて何処か他人を寄せつけない。

人を斬る時の目はもう何十、何百と斬ってきたかの様な冷たい瞳。

けれど、まだ成人もしていない、少年少女。

かけがえの無い、唯一甘える事の出来る存在の姉を失った二人は、互いを感じることで悲しみを埋めることしか知らなかった。


二人の関係を知ったのは、皮肉にもミツバの四十九日だった。

総悟はいつも通り表情を崩さずにしっかりと喪主を勤め、同じく凛として隣に立つA。


"っ…ひっく…姉上、"


墓参りが終わって、屯所に戻るとAの部屋から聞こえてきた泣き声。


(そうだよな。大人びていても、まだあいつらは十八だ。それにまだミツバの葬式から二ヶ月も過ぎちゃいねェ。)


声をかけようと覗くと、


"泣くな。A、"


そこには、深く唇を重ねる二人が…。


"んっ…"


"大丈夫だ、お前ェは何も考えなくてもいいんでさァ"


"…そーちゃん、"


"俺たちは二人で一つだ、"



縺れ合って布団へ雪崩れ込む二人。

信じがたい光景を目にした時、人は咄嗟に動けなくなると聞くが、どうやら本当らしい。


"何が合っても、絶対ェにお前を一人にしたりはしねェから。"


"ん…っ……"


"お前が不安に思うことなんて何も無ェんだ、大丈夫。"



総悟の手がAの着衣を乱していくのを見ながら、固まった。本当に、動けなかった。そして、


"まだ不安なら、そんなの忘れさせてやりまさァ"



Aの下着に手をかけた総悟と目が合った。


"はァ…"

表情一つ動かさずにふと手を止めた彼は、ため息を吐くと、彼女に自身の着流しをかけてやる。


"そーちゃんどしたの、だいじょ…"

"土方さん、覗き見ですかィ?"


無表情のままこちらに視線を移し、いつも通りの憎まれ口をたたく総悟。

"…嘘、っ…土方さん、"


対照的にひどく動揺した様子のA。


そして俺もまた、

"A…、総悟…、お前たち…。"

驚きを隠せない。

"ッ…総悟…お前は妹に何してンだよ…!"


"やめて、土方さん。そーちゃんは悪くないの、"


力なく微笑むAは、うつむいたままで自分を見てもくれなかった。


"だから、そーちゃんのこと、怒んないで。"

"っ…、"

ミツバを奪った俺には、それ以上言葉を続ける資格がなかった。そして、


"あんたにだけは言われたくねェよ。誰のせいだか考えてくだせェよ…"


あいつらに、これ以上恨まれる勇気も覚悟もなかった。

第7話→←第5話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (141 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
195人がお気に入り
設定タグ:銀魂 , 沖田総悟 , 坂田銀時
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あつぽん(プロフ) - 白雪さん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけるなんて本当に嬉しいです。励みになります!これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年8月25日 15時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - これ面白すぎです (2016年8月23日 20時) (レス) id: 7a9606292a (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 蒼月さん» ありがとうございます!コメント、本当に嬉しいです。これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 続き楽しみです!更新頑張って下さい♪ (2016年2月5日 17時) (レス) id: 5defdd12f1 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 高杉銀時さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていると言っていただけると、すごくテンション上がっちゃいますよー(*^O^*)これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします ! (2016年1月12日 19時) (レス) id: df8f2d9e4c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あつぽん | 作成日時:2016年1月4日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。