第6話 ページ8
年の割りに大人びていて何処か他人を寄せつけない。
人を斬る時の目はもう何十、何百と斬ってきたかの様な冷たい瞳。
けれど、まだ成人もしていない、少年少女。
かけがえの無い、唯一甘える事の出来る存在の姉を失った二人は、互いを感じることで悲しみを埋めることしか知らなかった。
二人の関係を知ったのは、皮肉にもミツバの四十九日だった。
総悟はいつも通り表情を崩さずにしっかりと喪主を勤め、同じく凛として隣に立つA。
"っ…ひっく…姉上、"
墓参りが終わって、屯所に戻るとAの部屋から聞こえてきた泣き声。
(そうだよな。大人びていても、まだあいつらは十八だ。それにまだミツバの葬式から二ヶ月も過ぎちゃいねェ。)
声をかけようと覗くと、
"泣くな。A、"
そこには、深く唇を重ねる二人が…。
"んっ…"
"大丈夫だ、お前ェは何も考えなくてもいいんでさァ"
"…そーちゃん、"
"俺たちは二人で一つだ、"
縺れ合って布団へ雪崩れ込む二人。
信じがたい光景を目にした時、人は咄嗟に動けなくなると聞くが、どうやら本当らしい。
"何が合っても、絶対ェにお前を一人にしたりはしねェから。"
"ん…っ……"
"お前が不安に思うことなんて何も無ェんだ、大丈夫。"
総悟の手がAの着衣を乱していくのを見ながら、固まった。本当に、動けなかった。そして、
"まだ不安なら、そんなの忘れさせてやりまさァ"
Aの下着に手をかけた総悟と目が合った。
"はァ…"
表情一つ動かさずにふと手を止めた彼は、ため息を吐くと、彼女に自身の着流しをかけてやる。
"そーちゃんどしたの、だいじょ…"
"土方さん、覗き見ですかィ?"
無表情のままこちらに視線を移し、いつも通りの憎まれ口をたたく総悟。
"…嘘、っ…土方さん、"
対照的にひどく動揺した様子のA。
そして俺もまた、
"A…、総悟…、お前たち…。"
驚きを隠せない。
"ッ…総悟…お前は妹に何してンだよ…!"
"やめて、土方さん。そーちゃんは悪くないの、"
力なく微笑むAは、うつむいたままで自分を見てもくれなかった。
"だから、そーちゃんのこと、怒んないで。"
"っ…、"
ミツバを奪った俺には、それ以上言葉を続ける資格がなかった。そして、
"あんたにだけは言われたくねェよ。誰のせいだか考えてくだせェよ…"
あいつらに、これ以上恨まれる勇気も覚悟もなかった。
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あつぽん(プロフ) - 白雪さん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけるなんて本当に嬉しいです。励みになります!これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年8月25日 15時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - これ面白すぎです (2016年8月23日 20時) (レス) id: 7a9606292a (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 蒼月さん» ありがとうございます!コメント、本当に嬉しいです。これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 続き楽しみです!更新頑張って下さい♪ (2016年2月5日 17時) (レス) id: 5defdd12f1 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 高杉銀時さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていると言っていただけると、すごくテンション上がっちゃいますよー(*^O^*)これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします ! (2016年1月12日 19時) (レス) id: df8f2d9e4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あつぽん | 作成日時:2016年1月4日 14時