第43話 ページ45
"そーちゃん!"
"なんでィ、A"
"これ見て"
"なんだよ、何かあったのか?"
"いーから!はやく!ほらほら、これ!ほらー!"
そう、あの頃はいつも笑っていた。
お前も、そして、俺も。
"ほら、真っ赤な桜!珍しくない?"
"ほんとだなァ"
俺達はいつも、2人だった。
Aは、その赤い桜の花を指さして、言ったんだ。
"えへへ!これ、そーちゃんの目みたいで、綺麗だね!"
"そんな、の、"
Aだって、いっしょだ。
目の前に出された花を見て尚更そう思ったけど、言えなかったのを覚えてる。
そう、あれはとても澄んだ美しい紅色だったから。
「やっぱりいるんだー。」
髪の色も、瞳の色も、何もかもが、同じなのに。
あの頃と比べて、俺は随分変わったと思う。
そして、いつまでも、
"そーちゃん!"
変わらぬままでいるAは、俺の聖域だった。
"俺達は、"
"あたし達は、"
俺を取り巻く汚い感情を拭ってくれる、決して汚してはならない眩い光。
"二人で一つ。”
薄汚れた俺にもひとつ位そんな場所が欲しかったんだ
「……」
「沖田さん……怒った…?」
「いや…」
「ごめんね、なんか詮索するみたいになっちゃった」
「………」
「彼女、大切にしてあげてね」
だからこそ、Aがいつか好きな男と結ばれること。それは俺が最も望んでいて…同時に最も恐れていた事だった。
"…置いてかないで"
"ずっと一緒でさぁ…"
いつしか同じ目線で見ていた物はズレていき、俺の手から離れて行く。
「アイツは…そんなんじゃねーよ」
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あつぽん(プロフ) - 白雪さん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけるなんて本当に嬉しいです。励みになります!これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年8月25日 15時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - これ面白すぎです (2016年8月23日 20時) (レス) id: 7a9606292a (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 蒼月さん» ありがとうございます!コメント、本当に嬉しいです。これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 続き楽しみです!更新頑張って下さい♪ (2016年2月5日 17時) (レス) id: 5defdd12f1 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 高杉銀時さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていると言っていただけると、すごくテンション上がっちゃいますよー(*^O^*)これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします ! (2016年1月12日 19時) (レス) id: df8f2d9e4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あつぽん | 作成日時:2016年1月4日 14時