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第36話 ページ38

“みられちゃうよ…部屋、行こ、”

吐息交じりに制止する Aを抱えて、自室に連れ込んだ。

「そーちゃん…」

無表情のまま俯く俺を、Aはまっすぐにじっと見つめていたが、

「怒鳴っちまって、悪かったねィ…怖かったよな」

「んーん、ちょっとびっくりしただけ、大丈夫」

苦笑混じりの声で呟く俺に、やっと笑みを浮かべるA。

「でも、突然出てきちゃったから、みんなもびっくりしてるかもねー」

そして、

「一回、戻ろっか」

俺に背を向けて、着物の乱れを直しはじめた。

「A」

その華奢な体を引き寄せて背後から抱きしめると、

「え…あ…そーちゃん?…どうかした…?」

俺は振り返ったAに、物も言わずに唇を深く奪う。


「んん……っ」

飲みきれなくて、Aの口の端を伝う蜜。
それを舐めとりながら、そっと囁く。


「部屋でならイイって言ったじゃねーか」

「そ、そうだけど。呑んでる途中に出てきちゃったから、挨拶もしてないし、」

「皆、酔い潰れちまって、俺らのことなんざ気にしちゃいねーよ」

俺は開き直ってみせる。


「…っちょ、ヤダ…」

「いーから大人しくしてろって…」


尚も部屋を出て行こうとするAの背を、壁に押し付けた。

いつにもない強引さに、Aは瞳を見開く。

「そーちゃん、今日、変だよ」

「別に、んなことねーよ」

「もー、そーちゃんっ」

俺の言葉にますます、不機嫌そうに頬を膨らませるA。


「みんな心配してるよ。」

「……」

「旦那とか、超びっくりしてたじゃん、絶対誤解されてるよ」


何度言ってもAは首を縦には振らず、そして俺も、

「うるせーな…、大人しくしてなせェよ」

彼女を自身と壁の間に挟んだまま譲ろうとはしない。

「……」

「……」

少しの間、睨みあうようにして見つめあう。

突然

「はァ…つーか、別に誤解じゃねーだろ」

俺は、Aの顎に指先を置くとやんわり笑って、片手で上を向かす。

「ホントのことじゃねーか」

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あつぽん(プロフ) - 白雪さん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけるなんて本当に嬉しいです。励みになります!これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年8月25日 15時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - これ面白すぎです (2016年8月23日 20時) (レス) id: 7a9606292a (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 蒼月さん» ありがとうございます!コメント、本当に嬉しいです。これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 続き楽しみです!更新頑張って下さい♪ (2016年2月5日 17時) (レス) id: 5defdd12f1 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 高杉銀時さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていると言っていただけると、すごくテンション上がっちゃいますよー(*^O^*)これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします ! (2016年1月12日 19時) (レス) id: df8f2d9e4c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あつぽん | 作成日時:2016年1月4日 14時

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