第27話 過去篇 ページ29
(過去篇)
「…っ、そーちゃん、」
「ここに、居まさァ…」
どちらともなく指を絡ませる。
「A…、いいか…?ひとつになっても、」
「ん……、いーよ…きて、」
もっと深く感じたくて掠れた声で尋ねると、Aは覚悟を決めた様な顔でコクリと頷いた。
「ん、あ…や、そーちゃ…痛い…」
二人が繋がった場所から、うっすらと桜色に染まった透明な愛蜜が幾筋も零れ出ている。
Aが初めてだという証拠。
「A…ッ…、」
決して侵してはならない聖域に踏みいっていると思うと、少し胸が痛んだ。
「っ…ぅ…っ、」
声にならない声がAから漏れ、紅色の瞳から大粒の涙が零れ落ちる。
「ッ…」
Aが俺の肩に爪をたてると鈍い痛みが背中を伝う。だが、俺にはその痛みすら愛おしかった。
「…大丈夫だから、体の力抜きなせェ」
苦しいほどにキツいのは、隙間なく互いが繋がっている証。
「そうだ…上手でさァ…」
この痛みは、間違いなく此処に在る証。
「全部入りやした。よく我慢しやしたね…」
涙を流すAの瞼にキスを落とし頭を撫でながら、優しく囁いた。
「ひとつに…なれたんだね、」
その涙が、初めての痛みによるものなのか、姉上を無くした悲しみからなのか。それとも、禁忌をおかした罪悪感からなのか…俺には分からない
「ああ…俺たちは二人で1つでさァ…」
小さな声で囁き、ふぅと息をもらすAを抱き締める。
「うん。…ずっと…一緒…」
強く、とても強く。
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あつぽん(プロフ) - 白雪さん» ありがとうございます!そんな風に言っていただけるなんて本当に嬉しいです。励みになります!これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします (2016年8月25日 15時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - これ面白すぎです (2016年8月23日 20時) (レス) id: 7a9606292a (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 蒼月さん» ありがとうございます!コメント、本当に嬉しいです。これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします! (2016年7月4日 21時) (レス) id: 3134e8bca3 (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - 続き楽しみです!更新頑張って下さい♪ (2016年2月5日 17時) (レス) id: 5defdd12f1 (このIDを非表示/違反報告)
あつぽん(プロフ) - 高杉銀時さん» コメントありがとうございます!楽しみにしていると言っていただけると、すごくテンション上がっちゃいますよー(*^O^*)これからも頑張りますので、どうぞ応援よろしくお願いいたします ! (2016年1月12日 19時) (レス) id: df8f2d9e4c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あつぽん | 作成日時:2016年1月4日 14時