不器用な私たち (ページ9)

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9. you ページ9

ジヨンが家を出発してしばらく経ってから、私もこっそりジヨンの家を出た。パパラッチにバレたら一貫の終わりだ。

もうみんなは空港に着いた頃だろうか。

携帯を見ても、テソンからの返事は来ていなかった。自分が悪いのが分かっているから、少しでもテソンからの連絡がないと不安になってしまう。

いつも飛行機が出発する前に連絡が来るから大丈夫。
そう自分に何度も言い聞かせた。

一旦家に帰って、仕事へ行く準備をしていると、テソンからの連絡がきた。

『今から飛行機乗るよ。行ってきます。』

ほら、やっぱりちゃんと来る。けれどその文面はどこか少し素っ気ない気がして。

…やっぱりあんな下手なウソじゃ納得できてないんだ。
直感的にそう思った。

『気をつけてね。行ってらっしゃい。』

だけどこれ以上の言葉を並べても、意味がない気がして、私は無難な返事だけを返した。

テソンに会いたい。

急にそんな思いが込み上げてくる。
テソンに抱きしめて欲しい。一緒にいるだけで安心できるテソンの空気感を包まれたい。テソンに大好きだと伝えたい。

あんな風にテソンを置いて、ジヨンに会いに行った自分を消したい。

いくらそんな風に思っても、私がジヨンに会った事実は消せないし、現実は何も変わらない。

今まで何度同じことを思ったんだろう。
ジヨンとのあの日から、もう半年を迎えようとしている。

ジヨンは段々減らせてると言い張っているけれど、本当は何も変わっていないんじゃないかと思う。

予定されているアルバムの作業も進まないまま、迫りくるスケジュールを淡々とこなす毎日。

精神的にも体力的にも、辛いはず。

だけど、だからと言ってジヨンのしていることは決して許されない。
どんな理由があっても、やって良いことと悪いことがある。

どうしたら止められるんだろう。

私は仕事へ向かった。
考えたって答えは見つからない。簡単に止めらるものなら、今頃ジヨンはこんなに苦しんでない。

それが出来ないから、だからあんなものに手を出したらいけないんだ。