不器用な私たち (ページ5)

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5. you ページ5

普段はあまり使われていないキッチンを見渡し、朝食になりそうなものを探した。
シリアルと、冷蔵庫には卵と野菜が少しだけ入っていた。良かった、ちゃんと作れそう。

急いでオムレツとサラダを作った。コーヒーメーカーをセットして、カウンターに置いてあったリンゴを切った。

間に合ってよかった。安心しながらテーブルに朝食を並べていると、ちょうどジヨンが戻ってきた。

「いい匂い。うまそー。」
「どうぞお召し上がりください～。」

シャワーを浴びたばかりのジヨンは、朝なのに濡れた髪が色っぽい。それでふんわりと石けんの香りをまとっているのだから、私は今にもくっつきたい衝動を抑えなくちゃいけなかった。

「いただきまーす。」

ジヨンはオムレツをひと口食べると、にこっと笑って、それはとても幸せそうな顔で。

「やっぱり、Aの朝ごはんが一番。」
「それは良かった。」

一番って、誰と比べて一番なんだろう。素直に喜べばいいのに、そんな事を気にする自分に少しあきれてしまう。

「あ、テソン大丈夫だった？」

ジヨンがコーヒーを飲みながら聞いた。
心配するなら、私を呼ばないでよ。テソンのことを傷付けてるのは私だけじゃない。ジヨンだって、共犯者だ。

「…うん、多分。」
「そっか。」

テソンの寝顔を思い出して、胃がぐっと締め付けられた。こうしてジヨンと一緒にいるだけでも常に罪悪感が自分を襲う。この罪悪感から逃げたかった。今すぐ帰りたい。

「ごめんね。」

ジヨンから発されたその一言に、なぜかまた胃が締め付けられた。

今すぐ帰りたいなんて、ウソだ。
本当はジヨンと一緒にいたい。

だけど、私にはテソンが一番大切なのも、本心だ。

お互い、こんなの駄目だって分かってるのに。

そんな風に素直に謝られたら、私は何も言えない。この罪悪感から逃げたいと思っても、私は足を動かすことすらできない。

ジヨンを助けたい。
初めはその一心だった。

なのに今は、それだけではない。きっとジヨンも気付いているはずだ。

お互いを好きになってしまったことに。