不器用な私たち (ページ25)

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25. you ページ25

家に着くなり、倒れるようにソファーへダイブした。

「ふーーー。」

と声に出して息を吐く。

今日はびっくりしたなあ。
まさかジヨンが来るなんて。

でもびっくりしたのは私だけみたい。
ジヨンが私を見た時の反応からすると、ジヨンは元々知っていて来たようだった。

ジヨンは何とも思っていないのかな。

「あ。」

思い出したように、鞄の中からポーチを取り出した。ジヨンから貰ったピアス。

簡単な包装がされている小さな小箱を開けると、写真で見たとおりのピアスが入っていた。
リングに鍵がぶら下がっているシルバーピアス。

うーん、これがお洒落なのかな？
あんまり可愛いとは思えないけど…。
ジヨンのセンスはたまによく分からない。

「あれ？」

私は小さな箱の中を何度も確認した。ピアスがひとつしか入っていない。
ポーチの中や床を見てみても落ちていない。

『ジヨン、ピアスありがとう。でも片方しか入ってなかったよ…？』

ジヨンに連絡を入れると、すぐに電話がかかってきた。

「もしもし？」
『それ、元々1個しかないから失くさないでねー。』
「え？どうして？」
『大事なものは2つも要らないから。』
「…ちょっとよく分かんないんだけど。」
『Aのピアスの穴、奇数だからちょうどいいでしょ。』
「そう…いうこと？」

いまいちよく分からないジヨンの説明。
けれどそんなことはおかまいなしに嬉々としているようだった。

『あ、A、明日の夜空いてる？』
「仕事は早番だから、空いてるけど…。」
『うち来てよ。』
「うーん…」

用事も無いのに行くのは、いけない事のような気がする。

『…だめ？』

なんでそんな可愛らしい聞き方するかな。

「だめって言うか、だって…。」
『そろそろしんどい。』
「…分かった。じゃあ、仕事終わってから行くね。」
『ん。』
「おやすみ、ジヨン。」
『おやすみ。』

ふぅ…と小さくため息をつく。

そろそろジヨンとちゃんと話しなくちゃ。
いつまでもこんなふわふわな関係は良くない。

どうしてテソンのことが大好きなのに、ジヨンのことも好きになってしまったんだろう。

そんな器用な人間じゃないのに。