不器用な私たち (ページ12)

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12. you ページ12

仕事が終わり、帰り道で気分転換にといつもと別の道を歩いていると、初めてテソンと会った日に行ったご飯屋さんの前を通った。

あの日、テソンは私に思いきり一線を引いていて、簡単には心を許してくれない人なんだなと思った。

でも私はどうしても"本当のテソン"を知りたかった。それはテソンのファンになってからずっと願っていたことだった。

スンリを交じえていても数時間話しただけでは、ビッグバンのテソンのままで。

今日一日では無理か、と諦めて私は大人しく帰ることにした。けれどテソンに背を向けて歩き出した瞬間に、後ろから腕を掴まれて。

「待って。」

そう言われて振り返ると、テソンが真顔で私を見つめていた。

…懐かしいな。

もう一年前なのか。

ずっと大好きだったテソンと付き合えることになって、もう死んでもいいと思えた。いや、絶対に死にたくないんだけど。

本当に毎日が幸せで。

テソンに大好きだと伝えられることも、テソンに愛されることも、何もかもが幸せだった。

それで十分だった。
これ以上、何もいらなかった。

なのに、私はジヨンという名の抜け出せない穴にはまってしまったのだ。

こんなの上手くいくはずない。いつか絶対にバレる日が来る。

頭では分かっているのに、どうすることもできなくて、私はジヨンとテソンの両方を手にしている。

本当に最低だ。

…ジヨンが薬さえやめてくれたら。

私は必要無くなる。

寂しいけれど、そうなれば全てが解決する。
誰も傷付かないで済む。

このままじゃ駄目だ。
ジヨンとちゃんと話さなくちゃ…。