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Aの左手を拘束したまま、もはや通いなれた第二体育館に足を運んだ。
いつもと違うのは、Aを連れていることだけ、なのに。
なぜこうも、冷や汗をかくような類の緊張感が、俺の脳内を支配しているのか。
Aにだけは、悟られてはいけなかった。
「……飛雄。」
俺の右手に、力が加わる。
Aも、別の意味で緊張感を抱いているし、ある種恐怖もあるのだろう。
《あの日》は、本当に唐突に訪れて。
Aに《怨恨》と、《恐怖》を植え付けて、過ぎ去っていったんだ。
俺達兄妹にとって、《あの日》は、忘れるべきでない日付であって。
そして、一生消えないトラウマのような傷跡なのである。
「大丈夫。……大丈夫だから。」
根拠のない返事しかできないけど。
でもAは、まだ落ち着いているから。
今のうちだ、と確信しつつ、拘束していた左手を離して、体育館のドアを開けた。
「おーす、影山。」
「おー、影山。」
ドアを開けると、声が二つ。
田中さんと菅原さんだ。
救われた。
「ちゃっす。」
軽く挨拶を返すと、Aに向かって手を伸ばす。
Aは迷うことなく俺の手を取って、体育館に足を踏み入れた。
キャプテンの代わりに、その場に居た菅原さんが集合を掛けてくれた。
部員は、一応全員揃ってはいるのだが。
Aは、誰とも目を合わせようとしない。
対人恐怖症という訳ではないのだが、どうしたのだろうか。
寧ろいつもなら、誰かれ構わず睨んでしまうから、止めるのが大変なのに。
「A？……どうした？」
目線がAより低くなるように、しゃがんで目を合わせた。
Aは、今にも泣きそうで、《あの日》のような目をしていたから。
いつものように、肌を触れ合わせて、落ち着かせようとしたところに。
「《王様》、妹のしつけもちゃんとできない訳？」
最悪のタイミングで、月島の厭味ったらしい《王様》呼び。
ああ、終わった。
Aの息が荒くなって、ぎりぎりと、ぎりぎりと、歯が音を立てている。
「―――――――――――――――――――――――――《王様》？ふざけた名前で呼ぶな。」
もう、こうなってしまっては。
俺にも、大人にも、もう誰にも止められないのだ。
Aが、ボロボロになるまで。
あるいは、相手がボロボロになるまで。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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博霊来夢＠烏野一年クラスタ - 完結おめでとうございます。実は今日始めて見つけて読んでいたんですが、凄い感動して、私は涙が出てしまいました。私は祖母に人間らしく生きてほしいと言われたことがあり、操り人形と呼ばれる夢主さんの話を読み更に感動しました。小説の更新頑張って下さい。 (2015年8月25日 2時) (
レス) id: 0f18ec9b20 (このIDを非表示/違反報告)
MIORINE(プロフ) - 兎亜さん» 毎度毎度ありがとうございますｗ (2014年10月5日 17時) (レス) id: c4fda7ba0c (このIDを非表示/違反報告)
兎亜(プロフ) - MIORINEさん» はい見てます！！！ (2014年10月5日 17時) (レス) id: 930da2fbf6 (このIDを非表示/違反報告)
MIORINE(プロフ) - 兎亜さん» ｗｗさいですかｗｗ← 有難うございますｗ次はハイキューと黒バスですｗ← (2014年10月5日 17時) (レス) id: c4fda7ba0c (このIDを非表示/違反報告)
兎亜(プロフ) - MIORINEさん» 飛雄の殺人サーブあれだな……← 完結おめでとうございます！新作待ってます！！！ (2014年10月5日 17時) (レス) id: 930da2fbf6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：MIORINE | 作成日時：2014年9月28日 10時
