【ハイキュー!!】王様の双子は頭のねじが外れてる。

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*SIDE:You≠Doll*

　――――――――――――――――――中学校に入学したら、すごいセッターが居た。
《及川徹》という、完全なる《努力型》の、二年先輩。
でも飛雄の方が技術は上だし、多分バレーもうまいんだと思う。
それでも飛雄は、《及川徹》に負けていた。
それは、《コート上の王様》という異名が物語っている通りで。
独裁的なバレーをする飛雄は、いつまでも《及川徹》を倒すことなんてできやしなかった。
でも、その独裁的なバレーが、私は大好きだった。
飛雄がそこに居ると、わかるバレー。
飛雄がセッターだと、わかるバレー。
だから《及川徹》は、ずっと飛雄の事が嫌いで。

「サーブ教えてください」

と熱心に向かっていく、飛雄の事を拒絶していた。

「嫌だ」

の一点張りで。
でも、その《嫌だ》には、まだ温かみがあって。
飛雄が最後に言われた、

「付き合ってられるか。」

という拒絶とは、また違った愛情表現だったんじゃないかと、今なら思える。

「及川さんと会えて、よかったね。」

私は《及川徹》の試合を始めて見た日、飛雄にそう言ったけれど。
それは単なる、《よかったね》ではなくて。
《ようやく相手になる人が見つかってよかったね》という、そういうドロドロした意味だった。

　飛雄が初めて負けた、あの日。
あの日私は、初めて、知らない《私》が居ることを自覚した。
そして、知らない《私》は、飛雄を《王様》と呼ぶたびに目覚めてしまうことを知った。
それを知った周囲の人間が、ある日、

「お前は《王様の操り人形》なんだよ。」

そう言って、《私》を殺そうとした。
《操り人形》と言われたのは、私ではなく《私》の方であると。
飛雄は、知っていただろうか。

「……ごめん。」

そして、その事件をきっかけに。
《私》は薬漬けの毎日を送ることになった。
《あの頃》はまだ、薬の匂いにまみれた毎日を、過ごしていたのだ。

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