【ハイキュー!!】王様の双子は頭のねじが外れてる。

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いつからなのかは俺も覚えていないが、気が付けばAは俺の隣以外を拒むようになった。
壊れた様に俺を望み、そして俺も壊れた様にAを望んだ時期が、確かにあった。
そのおかげで、今の《普通じゃないA》が形成されているのだとすれば。
九割五分、俺の責任であることに違いないけれども。
そんなことよりも重要な過去が、Aにはあって。
そしてそれを指し示す首の傷跡が、国見によってつけられたモノだということも、知らないのだ。
Aは普通に生きてきたのに。
どうして、こんなことになってしまったんだろうか。

「……ッ、及川さん……」

気が付けば、試合も終わりかける頃合い。
人が気を抜く瞬間に、《あの人》、《及川徹》は、決まって現れる。

「やっほー、《トビオちゃん》。……あれ、《Aちゃん》もセットなんだ。へーえ。」

うざったい、間延びした声。
いちいち《ちゃん付け》して呼んでくるあたり、Aのツボをしっかり押さえている。
百点満点の答案を突きつけられる感覚に似たものが、俺の脳内をむしばんでいく。

「ギリギリじゃない！……まあ、トビオちゃんの首輪付きだから、しょうがないか。」

及川さんが、次の一言を言ってしまう。
そう思った一瞬、

「叩き潰すッ！」

予想外の、田中先輩の大声が、響き渡った。

　―――――――――――――――――――――――結果、俺達が勝ったからよかったものの。
青城が、勝っていたら。
もしかしたらAは、おかしなことになっていたかもしれない。
もしかしたらAは、もう二度と笑えなくなっていたかもしれない。

「飛雄、すっごい顔怖い！日向君が可哀そう！」

隣で珍しくきゃあきゃあ喚くAと、それに便乗する日向。
普通の時は、日向や月島、山口とも仲良くしているように見えるけど。
この均衡が崩れてしまったら、Aは……

「人の事より自分の心配が先じゃなーい？《Aちゃん》。」

このタイミングで、いやらしい及川さんの声。
Aはぴくりと肩を震わせ、首の傷を指でなぞった。
及川さんは、《首輪ちゃん》と呼んでいたくせに。
こういう時ばかりいやらしくて、そういう所は大嫌いだった。

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