弐 ページ2
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辺りの空気が悪くなり、空まで黒ずんでいる場所がありすぐに見つけられた。
「凄い妖気ですね…りおん様はこちらでお待ちください。おいらは何かあれば夜叉姫さんをサポートします」
「理玖。本当にいいんですね?」
「何をいまさら。せっかく熱くなっているのに、野暮なことはしやせん。葬り去るだけです」
「理玖…」
「悲しまねぇでください、りおん様。おいらの覚悟はできています。それでは!」
耳飾りを弾き、夜叉姫さん達が見える木に降り立つ。
…さすがは、とわ様だ。麒麟丸にダメージを与えている。この勢いでいくと、もしかしたら。
麒麟丸が呻く様子を見ながら、何故か心が苦しくなるのを感じる。
「…ぐっ!…この後に及んで未練か…!消えたくないとどこかで思っちまってんのか…!厄介なもんだぜ、感情ってもんは…」
麒麟丸に弾き飛ばされ、宙を飛んでこちらにやってくる身体が見えた。
あれは!
「とわ様!」
咄嗟に身体を受け止め、圧に押されおいらの身体もわずかに吹き飛ぶ。
「り、理玖!?何でここに!」
「はは…何でですかね…とわ様を最後に目に焼き付けたかったのかもしれません」
「最後!?どういう意味!?」
「…おいらは麒麟丸から打ち捨てられたもの…麒麟丸が死ねばおいらも…そういう運命だったんです…とわ様に葬られるなら、おいらは本望です、さぁ…とわ様、おいらもサポートしますよ!」
一気に涙を溢れさせた、とわ様に腕をガシッと掴まれた。
「とわ様…」
「何でそんな大事なこと言ってくれなかったの!?そんなの嫌だよ!絶対に!是露と母さんを繋ぐ縁の糸が断ち切れたように、理玖だって麒麟丸から糸を切ればきっと…!そうでしょ!?」
たしかに…それは考えてはいたが…。
次から次へと向かってくる攻撃に、縁の糸を切るなど余裕など…。
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作者名:蒼井和希 | 作成日時:2022年1月15日 1時