TO BE WITH YOU (ページ35)

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Aちゃんや潤とは、学校は違えど近所同士だから、幼い頃に良く遊んだ。

中学に入ってから何となく疎遠になったのは、俺が二人より歳上で、二人より早くに思春期というものに突入したからだろう。

同学年の男友達とはもちろん女の子とも、都心にこだわって遊んだ。バカみたいに遊んだ。

数年後にやってくる大学受験と学生生活には、遊ぶ時間などないと知っていたから。

その頃から、良い学校に通っているとか、医者の息子だからとか、医者の卵だからとか。

俺、と付き合う女の子が付加価値を重要視していることを、俺は知っていた。

良いところのお嬢様だからとか、モデルをしているからとか、教授の娘だからとか。

彼女にも、付加価値を求めるようになった。

需要と供給、お互い様。そんな風に思っていたけれど。
仮に、付加価値がなくても付き合っていたか、お互いに好きになっていたかって考えた時、急に未来が霞む。

付加価値だけが独り歩きして人間性は二の次だなんて。

そんな関係性に虚しさを感じ始めた頃、親父に頼まれて実家の代診に行くようになった俺は、そこで俺をサポートしてくれるベテラン看護師の吉田さんから、所謂幼馴染である娘のAちゃんや潤の近況を聞く機会があった。

『彼氏いないのよ、うちの子。先生、どう？』

なんて冗談半分の吉田さんの話を聞いていたら、懐かしさも手伝ってちょっと期待している自分がいて。

見返りを求めない、期待をしない。
そういった関係性を結ぶのは、難しい。

もしかしたら。

そして偶然、うちの診療所に立ち寄ったAちゃんに久々に会って、驚いた。

幼さはなくなり、凛とした只住まいの女性がそこにはいたからだ。