TO BE WITH YOU (ページ25)

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「やっと和君て呼んだ」
「え？」
「二宮君とか呼ぶんじゃねえよ」

和君が私を抱き締めたまま、私の肩におでこをぐりぐり擦り付けてくる。
不貞腐れてても、可愛いなんてズルい。

「だって、秘密にしておいた方がいいのかと思って」
「それから、斗真のやつー。なんなんだよあいつ」

一応嫉妬はしてもらえるんだ。
ちょっと嬉しいなんて、絶対言わないけど。

「お前狙われてるだろ。なんではっきり断んないんだよ」

はっきり？
和君が、それを言うの？
はっきりしてくれないのは、和君の方でしょ？

「どうやって？」

思わず大きな声を出したら、和君が顔を上げた。
和君から距離を取る。

喧嘩はなるべくしたくない。
嫌われたくないの。
一番で、唯一の存在になりたいけれど、失うくらいならこのままでいい。

それくらい好きなの。

だけど、私にだってプライドはある。

「誘いを断るのに、彼氏がいるってはっきり言えないから困ってたのに」
「…」

和君の茶色い瞳が、私から逸らされる。

どうして何も言ってくれないのよ。
こんなんじゃあ、和君にお見合いの話なんてできるわけない。
彼氏ですって親に紹介できるわけない。

いつになったら。
いつになったら、私を彼女にしてくれる？
いつまで待てばいい？

このまま和君に曖昧にされて、私はそれでも好きなままだったら、結婚適齢期も過ぎて、子供も産めずに歳を取るだけ。

誕生日も祝わせてもらえなくて、私の誕生日だって祝ってはもらえないかも。

そんなの嫌だよ、和君。

「今日は一人で帰るね」
「送るよ」
「大丈夫、駅近いし。お願い、一人にして」

和君の前では泣きたくないの。
泣いてどうにかしたいわけじゃない。

もう、限界。

「おやすみ」

和君に背を向ける。
この道を来る時は、うちに一緒に帰れると思っていたのに。
もう、期待は、しない。