TO BE WITH YOU (ページ3)

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結局、行くところなんて思いつかなくて、うちに来ることになってしまった。
もうお互いお酒は飲みたくない気分だし、和君のうちよりは私のうちの方が近いしって理由で。

コンビニで買い物してうちに帰る途中もずっとずっと手は繋がれたままで、それは本当に自然で、高校生の時と変わらず彼が穏やかに笑うのを見て錯覚しそうになる。

付き合ってるんじゃないかって。

「あ、ここ」
「うん」

マンションに着いて、和君がおじゃましまーすと言いながら私の部屋に入る。

この家に男の人が入るのは、お父さんと潤君と、昔ちょっと付き合ってた元カレ以来だから緊張する。少しだけ雑然としていたソファー周りを簡単に片づけると、和君がソファの前の床に座って、コンビニで買ってきた水を飲んだ。

「結構飲んだ？」
「いや、そんなには。酔ってないつもりだけど。Aは？」
「私も酔ってないよ」

一応確認したかった。ここに来たのは酔った勢いなのかどうか。
足取りも話す内容もしっかりしていたから、酔ってないってわかっていたけれど。

「まあ、座りなさいよ」
なんとなく突っ立っている私に、和君は隣に座るように促す。

隣に座ったら。これだけ近くにいたら。

思い出した。
濃いアンバーの、この瞳が好きだった。

和君の唇はさっき飲んだ水のせいで冷たくて湿っていて心地良くて、最初は遠慮がちに様子を見るように触れるだけだったキスが少しずつ深くなっていく。

高揚した気持ちがキスの温度も上げるみたいで、あっという間に和君の唇は暖かくなった。

唇が離れたら、ぎゅうっと抱き締められた。

「俺のこと好きだったろ？」
「うん」
「俺も、好きだった」
「うん」

過去形で交される愛の囁きを、早く訂正したい。

「和君、私、さっき久しぶりに会ったばかりなのに、もう好きになっちゃったよ」

和君の肩に頬を置くと、するりと髪の毛を撫でられた。