【文スト】大好きな貴方に、手袋を買いに。【男主】

9-3　太宰と女性とミニ家出 ページ37

その次に敦くんの家に寄ってみたがハズレ。
与謝野先生、念の為賢治くん、と回ってみた。
しかし、ハズレ。

こうなったら、国木田君かな。
国木田君はスケジュールに厳しいから、予定通りなら今は家に居る筈だ。


走ったせいか、私は焦っているのか、心臓の動きが速いようだ。
賭けた様な気持ちでインターホンを押す。

暫く、沈黙があった。
数十秒だったか、数分だったかもしれない。
妙に緊張して構えていると、そっとドアが開いて……




ー ー ー
(Aside)

勢いで飛び出して来てしまった。
別に太宰さんは悪くないと思う。
男なら誰だってそう言う欲はある……って聞いた事がある。俺は未だそういうのはないけど。

俺のせいでそう言うのを我慢して貰うと言うのも確かに変だし。
だからもっと、気にしないでいいから、とか言い方があったんじゃないか。

取り敢えず飛び出して来てしまったものは仕方ない。
適当に歩いていたが、今夜は家には帰らないつもりと言う事は別の場所に泊まらないといけない。

この辺りだと、国木田の家が近いはず。
国木田なら泊めてくれるだろうと思って目的地を決めた。



何故か緊張して、微かに震える指でインターホンを押した。
すると、几帳面な国木田らしい一定のリズムの足音が聞こえ、ドアが開いた。

国「はい、って……A！？こ、こんな時間に一人？太宰のやつはどうした？喧嘩でもしたのか？
しかし、太宰がAに怒ることなど……」

『違う』

状況を全く飲み込めない国木田の質問攻めをぶった切る。

国「違う？喧嘩じゃないなら……何かされたか？いや、お前が何かしたのか？」

『違う……っ』

俯きっぱなしで国木田の表情が伺えないが、其の儘国木田の胸に顔を押し付けた。

『うっ……うぅ、おれ、っ、どうしたら良いか、分かん、ない……っ』

不安か、後悔か、よく分からない気持ちが涙となって溢れてくる。

国「なっ？！泣いて……？！お、俺の方がどうしたら良いか分からないだろうが！！」

普段、子供に泣かれたりしないのだろう、こういう所は不器用なのもあって国木田迄慌て始める始末だ。

国「と、取り敢えず中に入れ……！話くらいなら聞いてやる！」

そう言われて、国木田の家に上がり込んだ。

『……っ、だざ、いさんが、部屋に女の人連れ込んでて、偶々見ちゃって、俺、っ、何か、どうしたら良いのか、分かんなくって……』

国「で、飛び出してきたと」

『うん』

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