7-1 美少女と男と双黒 ページ27
(No side)
静かに燃えるような赤髪。
其の赤を引き立てるような漆黒のワンピース。
小顔で整った顔立ち……所謂美人か。
いや、少し幼さの残る処から美少女と云う方がしっくりくる。
風に靡く髪やワンピースは美しく、その隙間からチラリと垣間見える素肌は白く魅力的だ。
誰が見てもドキっとするような佇まい。
少しばかり不機嫌そうな顔ですら、儚さを醸し出してより少女の魅力を引き出しているように見える。
その少女は、現在任務を終えて帰ろうとしているポートマフィア――中原中也の前を歩いていた。
かなりの美少女だが、道の隅の方を歩き、極限まで俯いているせいか、行き交う人の目に入ることは殆どない。
しかし、数分前に中原が彼女に気づいた時からずっと行く方向が同じ、目に入って仕方ない。
曲がり角でチラリと伺えるその美人さに、つい目で追いかけてしまう。
もう何分くらいその状態が続いたか、やっと彼女が中原の目的の方向では無い角で曲がった。
周囲から見ればストーカーに見えなくもないこの状態も漸く回避できる、と思った刹那……。
少女が曲がった角が"唯の曲がり角"ではない事に気付いてしまった。
――其処は、路地裏へと繋がる薄暗く埃っぽい曲がり角だった。
仮に彼女が、初めて外に出た方向音痴のお嬢様だったとしてもだ、あんな路地裏には入らないだろう。
しかもあの迷いのなさ。
裏社会に精通している人間の可能性が高い、と捉えた中原は直ぐさま仕事時の真面目な顔に戻り、ストーカー――否、尾行を続行することにした。
ー ー ー ー ー
(Aside)
最悪だ。
今日何度目のため息かなぞ知らないが、憂鬱だ。
何故、俺が女装などして依頼人に会いに行かなければならないのか。
俺の気持ち相応に顔は見事に不機嫌で歪んでいるだろう。
俺は、その不機嫌さを隠すために只管地面を眺めて歩いた。
先ず、道を間違えないこと。そして、依頼人に不機嫌さを出してしまわないことに気を配る。
その他のこと――例えば、俺が戦闘要員で無い点など――は太宰が俺を後ろから見張ってくれているし、全て対策されている。
何かあればすぐに駆けつけて貰えるようになっているため、俺は前に述べた二点さえ達成すれば良い。
もう、其処の路地裏の角を曲がってしまえば後は道なり……だそうだ。
少しホッとしたら、俺が女装する原因となった出来事を何気なく思い返した。
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霜月まぎか(プロフ) - 妃有栖さん» え、え、読んでくれただけで死ぬ程嬉しい有難う!!!私も書きながら泣いた(( (2018年1月10日 23時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
妃有栖(プロフ) - 読破遅くなってしまって申し訳ない……ちょっと真面目に泣いたんだけど……夢主くん最初はめちゃくちゃ可愛いショタだって思ってたら最後はもう……!涙出てきた……夢主くん辛いけど幸せだっただろうねぇ…… (2018年1月10日 22時) (レス) id: 6bd3aaf7a9 (このIDを非表示/違反報告)
霜月まぎか(プロフ) - りつさん» 有難う御座います!現在進行系で読んでくださる方がいらして嬉しい限りです!頑張ります! (2017年12月9日 19時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
りつ(プロフ) - 久しぶりの更新嬉しいです!これからも応援してます! (2017年12月9日 11時) (レス) id: 9f104312a4 (このIDを非表示/違反報告)
霜月まぎか(プロフ) - おこめりんぐさん» 有難う御座います!!え、凄い嬉しい…!!同じ受験生何ですね!頑張りましょ!応援とかコメとか本当に有難う御座いますうう (2017年11月27日 16時) (レス) id: f7c4cbe325 (このIDを非表示/違反報告)
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