帳って本当にチート術式だった件【呪術廻戦】

宵祭り編　第2章　3 ページ27

五条side

「……へぇ。渋谷の計画ね」



　常の纏めてくれた、内通者のメカ丸の事情聴取録を読みながら、ふと百衣 羽紗の名前に気付く。

　百衣 羽紗。
　常の実兄だ。
　常に家系図で実兄が足りないと知り、伊地知が戸籍から百衣 羽紗を探すも、数年前に虐待から死んでいたしていた事のみ分かった。



　常にはあまりにショックだろうと百衣 羽紗が死んだ事を、まだ言っていない。
　自分で常がどれ程強いかを悠仁の件で確かめたのにも関わらず。
　言い訳をするならば、常は信じてくれないと思う。
　だって、死んだ筈の百衣 羽紗が、生きて今年のハロウィンに渋谷でテロを起こすらしいのだから。
　まぁ百衣 羽紗を騙る可能性も無きにしもあらずだが。



　常曰く、メカ丸の反応は本物でそれらしいし、一応棘の術式で吐かせても、同一の内容だった。



　常は恐らく、特級呪術師としてその呪詛師と戦わなければならない。

　その可能性を出来るだけ減らせるよう、僕百衣 羽紗を殺すべきなのだが。

　恐らくだが、少し前に、順平が真人と言う呪霊の術式である無為転変により、術式を得た様に、百衣 羽紗は無為転変で常と同様の術式を得た可能性がある。
　それはとても厄介だ。

　常は体術が弱いから不意打ちの打撃に滅法弱い。

　しかし、百衣 羽紗は違うだろう。
　体術も上手く術式も帳。
　これこそチートの最終形態だ。

　それに僕の術式を完全無効にしかねない。
　帳の術式を得た百衣 羽紗が、どれ程の術式を持っているのか、未知数だからだ。

　常には術式が強いだけでなく、友達だったという事から、感情的に揺さ振られてしまうだろう。

　もしも、友達が、友人が呪詛師に、敵になったら。
　もしも、傑が敵になったら。
　僕は、俺は……一体どうやって傑を止めるのだろう?
　というより、止められるのだろうか?

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