幼魚と逆罰編 第1章 3 ページ35
吉野side
__「ふわぁ、ねぇ常ちゃん? もーちょっとだけ話さない?」
母さんがそう言って、夕食の後片付けをしている常さんの肩を、がっしりと掴んだ。
(五条さんに夕食の後片付けまでしてもらっているのに、その妨害までするなよ……)
しかも、当人は欠伸を零す位には眠気が回って来ている。
これはそろそろ寝るだろう。
「私は全然良いですよ! 凪さんは眠くないですか?」
五条さんは母さんに気を使いながら、優しく話し掛けてくれる。
こういう人が姉だったり家族の一員だったら、もっと楽なのかな……? 母さんも辛くないのかな?
「私、お酒で目が冴えちゃった。お願い、もうちょっとだけ話に付き合って!」
「ちょっと、母さん!」
あまりの態度に思わず声を上げる。
共感性羞恥心とでも言おうか。
アルコールが回って、いつもならしない様な強引な手を使っている姿に、引け目を感じた。
それに『酒で目が冴えた』ってどう見ても、眠そうなんですが。
「良いよ良いよ。順平君はもう寝ちゃいな」
振り絞った少しの抵抗の声も虚しく、五条さんに「ほれほれ」と背中を優しく押されながら、部屋に戻されてしまった。
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作者名:陽毬 | 作成日時:2021年6月10日 16時