受胎載天編 第2章 10 ページ31
貴方side
__「……常は良い話と悪い話、どっちを先に聞きたい?」
五条さんの突然の言葉に現実に引き戻される。
目隠しの下の五条さんの六眼に真剣な目で見つめられる……気がする。
目隠しがあるからよく分からないけど。
「じゃあ良い話から」
悪い話から聞くと、良い話もあんまり嬉しく聞こえないからね。
「常って昔からそうだよね。……じゃあ、この部屋に入って。そうしたら、きっとすぐに、僕の言いたいことが分かる筈だよ」
地下の小さい部屋の前に着く。
そう言えば、私もここは昔に実験にも使ったなぁ。
ギィッと鉄扉が軋みながら開く。中から音と生活臭が漏れる。
(……え? 生活臭?)
こんな人が普段からいない部屋に生活臭がある筈が無い。
では、何故?
答えは単純。
最近は普段から使われていたからだ。
確かに最近、五条さんは不自然な出張が多かったけど。
「故人の虎杖 悠仁君でーす!」
「えっ?! 常せんせー?!」
地下室のソファには死んだ筈の虎杖君が映画を見ながら、座っていた……様に見えた。
「……あはは。辛過ぎて、虎杖君の幻覚見る様になったかも」
「幻覚じゃないよ! 俺、虎杖 悠仁!」
ソファから勢い良く立ち上がった虎杖君が、私の方に飛び掛かる。
その姿はまるで飼い主の帰りを待ち侘びた飼い犬の様だ。
肩に置かれた手が、確かに重みと体温を感じ、まるで生きているようだった。
「……せんせ、信じてくれないの?」
「……
驚きで思わず腰が抜け、膝から崩れ落ちる。
(……あっれ、呪術界って故人とか生き返るっけ?)
「宿儺がどうにかしてくれたみたいでさ」
「なんでもありかよ呪術界」
流石呪いの王、というべきか、それは無いと言うべきか。
「それ無限の可能性を秘めたチート術式の常が、言う言葉なの???」
褒められているのに嬉しくないの何でだろう?
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作者名:陽毬 | 作成日時:2021年6月10日 16時