受胎載天編 第2章 9 ページ30
貴方side
「常〜? ちょーっとこっち来て、僕の話を聞いてくれるかな〜?」
合同訓練後、五条さんから怪しい手付きで手招きをされて呼ばれた。
「先輩、あいつの所行っちゃ駄目ですよ」
真希さんはしきりに私を引き止め、
「しゃけしゃけ」
狗巻君はコクコクとヘドバンのごとく必死に頷く。
真希さんや狗巻君、パンダ君にはすっかり慣れ、今では普通にコミュニケーションが取れる。
少年漫画で擦り倒された代表ネタの喧嘩して仲良くなるのは伊達じゃない、って訳か……(違う)。
「ちょっと僕の扱い酷くない?! ……それより……割と
「……へいへい。行きますよ」
__高専の中でも最も人目が付かないであろう地下に五条さんと一緒にゆっくりと向かう。
最も人目が付かないと予想するのは地下へ行くには夜蛾先生に鍵を借りたりするなど面倒臭いことが多い為だ。
特に鍵1つ借りるにも夜蛾先生は編入試験の時の様に尋ねて来る。
以前、五条さんに頼まれ鍵を借りに行った時はとても大変だった。
__ふと、編入試験の時に私が夜蛾先生に宣言した言葉を、思い出した。
『私が五条さんの様に強くて格好良くなる為ですっ!』
初めて孤児院に来て、私達を救う為、呪霊を秒で薙ぎ払う。
会った時こそ私は五条さんに年頃らしからぬツンツンとした対応をしてしまったが、きっと自分より強い人を見たことでの、嫉妬や憧れが綯い交ぜになったからだろう。
あの時は自分だけが世界で特別だと信じていたから。
__『……私が生まれた事で、たくさん不幸にした人達への贖罪の意です』
いつから、私が呪術師を続ける理由が変わったんだっけ?
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作者名:陽毬 | 作成日時:2021年6月10日 16時