受胎載天編 第2章 3 ページ24
夏油side
悟曰く、常は生まれ持っての
確かに常は守りの術式である結界術の使い手の呪術師として数々の仲間のピンチを救って来た。
硝子もその1人だったし、理子ちゃんも、灰原も。
故にいざ常が自分のミスで人を殺してしまった際、常にはそれを受け入れる覚悟が無いと考えられる。
「僕だっておおっぴらに言いたくないけど、星漿体の任務でボコボコにされなかったら、耐性が無かったと思うよ。そういう体験はもっと幼い内に当然のものとして知っておくべきなんだ。僕も常も良い環境で育ったから、そういうのに中々巡り会わなくてね。僕でも遅い方だと感じるよ」
つまり、常がここで虎杖の死(嘘)にどう立ち向かうかが、常の呪術師人生で重要になるということだ。
「常にはしばらく教えないから、2人もネタバレしちゃ駄目だよ」
静かに時が流れ、窓で切り取られた外は、まだ強く雨が降っていた。
「……本当は?」
「今すぐ常に教えて安心させてあげたいッ!」
「格好良い言葉全部台無しだよ、悟」
だから、硝子から『残念過ぎるイケメン』って言われるんだよ。
＿＿「それに……」
そう言い、悟は先程自分で角砂糖を7つ程打ち込んだコーヒーを再び啜る。
おいそれ最早砂糖の味しかしないのでは?
「恵から聞いたんだけど、悠仁が最期に宿儺と入れ替わる前に、宿儺が常のお守りを見て、『帳術師か……』って言ってたのが、すっごく気になってるんだよね」
そう言えば、報告書にもそんなことが書いてあった気がする。
「僕、御三家関係者だからそういう単語には詳しい筈なんだけど、帳術師なんて初耳なんだよね。今、宿儺は常の事を大分気にしているから、僕の準備が整ってからが良いんだ」
御三家関係者の悟が帳術師を知らないならば、もう相当昔のに潰えた家系の呪術師の可能性がある。
また、『帳術師』という事はほぼ確実に帳は関係するだろう。
帳……常の元の家系の百衣家が関係するのだろうか?
「取り敢えず悠仁には宿儺のコントロールをもうちょっと安定させて、常と万全な状態で会わせなくちゃ」
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作者名：陽毬 | 作成日時：2021年6月10日 16時
