臨時教師編 第2章 3 ページ11
虎杖side
「__2、1、0。……もう良いかい?」
「もーいーよー」
伏黒のカウントダウンの終わりと常先生の声を皮切りに俺等は一斉に辺りを見回す。
……いない。
どこをどう見ても、
常先生はいない。
校庭は無駄な道具も無いので隠れる場所は無い筈なのに。
「……本当に校庭の中にいるのかしら」
釘崎はまずそこから疑い出した。
本当にそれをまず疑いたくなる程、本当にどこにも常先生は見当たらない。
「伏黒、常さんがどういう術式なのか、もう1度だけ詳しく教えてくれないかしら?」
釘崎の質問に伏黒がコクリと頷いた。
「あぁ、そうだな。隠れんぼ向きの術式は……」
伏黒曰く、常先生の隠れんぼ向きの術式は全部で3つ。
1つ目は小さめの帳を下ろす事。
中を見ないと、本当にいるのか、分からないので、囮になるらしい。
2つ目は透明な帳を下ろす事。
そして、3つ目は共有空間を用いた帳を使う事。
帳を下ろした所から、下ろした所まで、瞬間移動出来るらしい。
「うわっ、本当にチート術式じゃない。遺伝でもないらしいのにどうしてこんな術式が……」
確か常先生の出身の家は百衣家で代々帳を降ろす事が出来、帳が得意な補助監督を出していたらしい。
その中でも常先生は頭一つ抜けイレギュラーだったらしいけど。
釘崎の発言に伏黒はやや目を伏せながら答える。
「……幼い頃に親から虐待を受けていた時、体の防衛本能が発動し、無意識に帳に隠れる事が多かったらしい。だからだと考えられている」
そう言えば、伏黒は常先生の術式に関し、『間違い無く時間は掛かるだろう』と言っていた。
虐待から身を守る為、幼い頃から帳に隠れ、帳に慣れてしまった、ということか。
「……本当に壮絶な人生歩んでいるんだな、常先生」
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作者名:陽毬 | 作成日時:2021年6月10日 16時