8枚目 ページ9
「私的にはさいっこーに面白かったです！」
「まぁ泣きというか要素だけで言うなら、
この数年では上位に食い込むと言えなくも無いかな」
へぇ〜と藤原先輩と石上君の話を聞く四宮先輩。
ぐぬぬ、あんま響いてないように見える。
「かぐやさんも読んでみて下さいよ〜」
「ん〜…、いえお構いなく、私は漫画を嗜まないので」
えぇ〜！？と、この場にいる全員が心の中で叫んだ。
ここまで薦めて！？絶対損してるこの人人生損してる！
漫画を嗜まない！？私も嗜んでないけどすっかりハマりましたが！？
ここで動く会長！ナイス！言ったれ！
「四宮、これも勉強…漫画というものを一度、
通して読んでみるのも悪くないと思うが…」
「でもそれ、いやらしいんでしょう？」
「かぐやさん…これはこの間読んだのとまた毛色が違うんですよ〜」
説得するも、一体何を読ませて何を吹き込んだのやら。
四宮先輩は一向に信用してくれない。
「先輩、いやらしいものだったらそもそもこんなに薦めませんし、
全員が口を揃えて泣けるし良かった、って言ってますし…」
「まあ一理ありますね…じゃあどういう話なんですか？」
何とか首の皮一つ繋がった…
そこにすかさず会長があらすじを説明してくれる。
人間不信の女の子の主人公で、その子の学校に口の悪い男の子が転校してきて…
「その男の子が実は思い病気で終盤死んじゃうんですよー！」
「テメコラー！！」
「何ネタバレしてくれてるんです！？私まだそこまで読んでない！」
「石上！このクソネタバレ女の口を塞げ！」
「藤原先輩！それはやっちゃいけないタイプのネタバレです！」
禁忌を犯した藤原先輩は、口をガムテープで塞がれた。
「今の話を聞く限りでは、全然面白そうではないのですが…」
「いや、こういうのは物語の積み重ねだからさ…」
そこから再びあらすじの説明が始まる。
ネタバレ、ショックだったな…まだ死んでなかったのに…
人間不信で拒食症の主人公は、恋愛を通して社交的になっていく。
初めての友達もできて、回想シーンで親に毒殺されそうになり、
缶詰や缶パン、サプリしか食べられなくて…
でも、亡き彼が作り置きしてたカレーを食べて「あまくち」って…
「やってくれたな！？あんだけネタバレに怒ってくせに！
なに流れるようにほぼ全部バラしてんの！？お前ら全員口封じだ許さん！」
容赦なく二人の口もガムテープで塞ぐ。
私の中では！まだ死んですらないのに！
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作者名：帳 | 作成日時：2022年5月17日 16時
