2枚目 ページ3
次の日、私は生徒会室に足を運んでいた。
その道中に、見覚えのある後ろ姿を見つけ声をかける。
「やっほ〜」
彼女の肩を叩くと、少し驚いてこちらに振り返った。
「あ、桜庭さん」
「風紀の仕事？」
「いえ、今日は生徒会に用があって…」
「もしかして、伊井野さんも生徒会に誘われた？」
手に持った書類や状況からそんな気がして聞いてみると、やはり図星だったようで。
「も、ってことは、桜庭さんも…？」
「うん、何で私なのかは全く分かんないけど…」
伊井野さんも「確かに決定打が無いですよね」と返してくれる。
そんなことを駄弁りながら歩いていると、あっという間に生徒会室に到着した。
「いっそ会長本人に聞いた方が早いと思います！」
手すりに手を伸ばし、扉を開けて挨拶する伊井野さん。
「…会長のヤリチン！！！」
そこに飛んできた四宮さんの爆弾発言。
目に涙を浮かべながら、彼女は生徒会室を後にする。
「ホントは黒のパンツ！俺は黒のパンティが好きだー！あぁー！！」
崩れ落ちる会長。凄まじい誤解をする伊井野さん。
「いや、違うんだって伊井野…」
「ひっ！わっ私は黒の下着なんて穿いてないです、襲わないで…！」
「襲わねーんだわああ！！」
案の定、伊井野さんもその場から逃げ去ってしまった。
気まずい空気の生徒会室。
しかし、まあ私は伊達に生徒全員と流暢に会話していない。
何となく状況もお察し。
「私はレースのローライズですよ、残念ながら色はワインレッドですが」
「聞いてない聞いてない」
ちぇっ、もの凄い形相で拒否られてしまった。
「では、どうしてこの状況に？」
私が訪ねると、会長は大まかな会話の流れを説明してくれた。
お茶の好みを聞かれ、爽やかなものが好きなんですね〜と。
じゃあパンツはどんなものが好みなんですか？と。
桜庭Aは切実にこう思った。
え？会話初心者か？
そりゃこんなお互いに察して繰り広げる会話してたら、誤解の一つや二つ生まれるわ！
「ふむ」
ここで桜庭、己の経験から会話の流れや状況を推測！
「今日生徒会室に来たのは、会長と四宮さんどっちが先でしたか？」
「四宮が先だ」
「他のみなさんは？」
「先に帰ったと四宮から聞いた」
会長が来る前に下着の種類の話でもしたか、それでヤリチン発言ね。
桜庭が出した結論は、
「お互い様ですが会長の方がちょっとキモい」
だって下着のリクエストって、ねぇ…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：帳 | 作成日時：2022年5月17日 16時
