103話 ページ10
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「……あ、」
最初に声を発したのはコネシマさんだった。
「関係あるか分からへんけど……
Aが死んだ後、ゾムはけっこう傷心しとった記憶があるわ。
オスマンは、どっちかと言うと引き摺りながらも前向いとった気ぃする。
これ関係ある？」
「……なるほど、……ふむ。
中々良い線行ってるんじゃないか？
それならゾムの方が思い出す際にダメージが大きかったのも理解が出来る」
「Aの死の直後の心境が影響してるってこと？」
「なら、1番Aの死を悔やんでたシャオロンとショッピくんは……」
「……今はまだ、それを考えるべきではないだろう。
次にダメージ少なく記憶を取り戻せるのは、エーミールじゃないか」
皆の話は何となく理解した。
私が死んだ事を引きずった人ほど思い出すのが大変なのではないか、という仮説だ。
一理ある気がする。
もし自分が大切な仲間を失ったとして、その時私は“全部無かったことになればいい”とか“忘れられたら楽なのに”とか考えてしまうだろう。
それが記憶の有無に反映したんだとしたら……理解が出来る。
「でも結局、何がキッカケで記憶を取り戻したんだか分からん」
トントンさんの言葉に、再度皆が黙り込む。
そんな中、ゾムさんがおずおずと手を挙げた。
「関係あるか分からへんけど……
おれは、Aとやって来たことの中なら、張り合いのある鬼ごっこと、任された任務をこなす事が一番楽しかったで」
「あ、それで言うと俺もAちゃんとお茶するのは楽しいと思っとったで。
俺の好み知ろうとしてくれるとことか、熱心に話を聞いてくれるとことか」
「……ゾムが前世を思い出したんが、リレー中にAと競争した時やろ？
オスマンが思い出したんは、Aと紅茶を買いに行った時。
何か関係ありそうやない？」
「ほう、それは面白い。
各々がA関連で大切にしている記憶……それに近しい事が起きれば、記憶を取り戻す可能性があるという事か？」
「それやったらまだ、希望あるんちゃう？」
「一緒に敵陣爆破しました〜とかいう無理難題じゃなきゃいけそうやな」
ゾムさんとオスマンさんの言葉を受けて、皆の目が輝き始めた。
楽しかったこと。
それであれば、ある程度予測することは出来るし、希望がある。
「ゾムとオスマンがいて助かった。
では、当初の予定通り……次の標的はエミさんやな」
肘をついて手を組んだグルッペンさんが、そう言いながらにニタリと笑った。
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作者名：叶海 | 作成日時：2023年6月30日 7時
