【d!】茫々 (ページ12)

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105話ページ12

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「ってな訳で開催します、勉強会！！」

急遽集められた私達。

場所は豪邸、グルッペン宅。

大きい机を並べ、全員が円を書くように座っている。

「はい！俺に科学教えて！」

「俺は今回の世界史は微妙」

「爆ぜろ国語」

『英語教えてください』

「数学教えてクレメンス〜」

各々、苦手教科が違いすぎてややこしい。

とりあえず前半は文系科目、後半は理系科目に分けて勉強会は始まった。

私は、とある作戦を実行する為にエーミールさんの隣を陣取ってみた。

「Aさんは、何か分からないとこはありませんか？」

『文系科目というか、英語があまり得意ではなくて……。長文が特に……』

「長文ですね。
何処の問題で躓いているんですか？」

『ここです』

問題を見せれば、暫く文章を読んだ後、懇切丁寧に私に説明をしてくれる彼。

知識量が凄いのは相変わらずなようだ。

「……という訳です。
Aさんは単語は十分に理解しているようなので、あとは細かい慣用句をマスターしていけば長文も怖くないですよ」

『ありがとうございます！
エーミールさんの教え方はやっぱりお上手ですね！
とても分かりやすくてありがたかったです！』

「お役に立てたなら光栄ですよ」

にこやかに笑うエーミールさん。

私は、そんな彼を前世の彼と重ねてしまった。

私がひとつ物を理解すると、エーミールさんは褒めてくれた。

分かるまで、とても分かりやすい説明を繰り返してくれた。

記憶は無くても、彼の根底の部分は変わらない。

『エーミールさん、良ければまた勉強を教えてくださいね』

「えぇ、もちろん」

エーミールさんの顔色に変化は見られない。

勉強を教えて貰えたのは万々歳だが、ここに来た目的の1つである“前世を思い出させること”は失敗に終わったらしい。

遠目から私達を見ていたグルッペンさんも、「これじゃないんか」と驚いている様子。

気にしたってしょうがない。次だ次。

糖分補給をして、今度は全員が理系の問題に取り掛かりだした。