【d!】茫々 (ページ2)

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95話ページ2

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「あれ？
グルッペンとAちゃんて中学同じやんな？
方向バラバラなん？」

大先生から放たれたその一言に、私とグルッペンさんは思わず顔を見合わせた。

グルッペンさんと帰るのは今回が初めて。

互いの家の方向なんて知ってるわけがない。

『私が引っ越したんですよ。
グルッペンさんは徒歩圏内から通ってますけど、私は電車通学ですし』

「あーなるほど。
って事は俺もAちゃんと駅まで一緒に帰れるやん」

にっこりと笑いかけてくる大先生に曖昧に返しておく。

今この場で自転車を押しているのがトントンさんとチーノくん。

徒歩で家まで帰るのがグルッペンさんとオスマンさんとひとらんさん。

それ以外は電車通学だ。

こう見ると、住んでる位置もバラバラな私達が、よく1つの学校に集まれたなとつくづく思う。

こんな奇跡中々起きないだろう。

そんな事を考えながら歩いていれば、あっという間に分かれ道。

T地路の右側が駅へ続く道。電車通学出ない人達は全員左側の道を行くらしい。

「それじゃ、また明日」

「またな〜」

なんて言葉を交わして、それぞれが帰路に着く。

少し歩けば、駅が見えてくる。

私の隣を大先生が歩き、前を他の人らが歩いている。

「Aちゃんはどっち方面？」

『〇〇行きの方ですね』

「ってことは、俺とシャオロンと一緒やね」

『え、皆さん反対方向なんですか』

「せやで。まあこれ環状線やからどっちから行っても帰れない事は無いんやけど」

「確かにな」

「あ、せや。
A、連絡先交換しよーや」

会話の最中、思い出したようにゾムさんが言う。

そう言えば、生徒会の誰とも連絡先を交換してなかった。

幼馴染設定のグルッペンさんとすら連絡先を交換していない事も同時に思い出す。

コネシマさんもロボロさんもそれを思い出した様で、「あ、」と間抜けた声を漏らしていた。

前々から知っている設定であれば、私に今連絡先を聞くというのは少し違和感がある。

ゾムさんから回してもらうしかないな。

そう思いながら、チャットアプリのQRコードを表示した。

アプリ内に、ゾムさんとシャオロンと大先生のアイコンが追加された。