お疲れな貴方に、少しの癒しを

リタリエの場合。(復讐したい人はいますか？) ページ20

「よいしょ、およ？」


(今は貴方は留守番を頼まれていたのだが、ふと見知らぬ人物が突然現れれば、ばっとその方を見て、敵意を向ける。…その人物の格好だけ見れば、復讐屋の一員に見えなくもない)


「なんだ、新入り居たのか、へぇ」


(警戒する貴方とは対照的に、にへにへとその人物は笑う。ついにはふらふらと彷徨き始めて)


「そんなカリカリするなよ、私ここの一員だぜ…？お前の先輩なんだぞほらぁ」


(やがてカウンターの端に置かれた小さな菓子入れのカゴを覗きこんで、中が空なのが分かれば少し面食らったような顔をした。
…口ではああ言ってるけれども、本当に復讐屋なんだろうか？少なくとも、あのような人物が居るなんて聞いた記憶はなかった)


「んゆ……？私のお菓子ないし。なんで…？」


(きょとんとしたような顔で、「何か知らないか」なんて言いたげな表情で貴方と目を合わせてくる。
そういえば、先程自分が食べたお菓子で最後だったような気がする。まぁこんな不法侵入者紛いの奴に素直に報告する筋合いはない)


「……！！」


(…のだが、貴方の側に置いてあった破かれた包みで察されてしまったらしい。にしてもこいつは一体誰だろうか)


「……ふえ…」


(何だか知らないが、とりあえずそろそろ追い返さないといけないだろうか、そう思い立ち上がった矢先に、なんとその人物が泣いてるのに気がついた)


「私がお菓子食べるの知ってるからっ…いっつも、なんだかんだあの3人、お菓子1個絶対残しといてくれてる…のにっぃ…」


(あの3人、とは先輩の3人でいいんだろうか。まさか本当に復讐屋の一員だったんだろうか、まさかお菓子を食べられた程度でこんな泣き出したんだろうか、と貴方は混乱する)


「なんでおまえ、そんな酷い事、するし……っ」


(ぐずぐず言いながらもきっ、と鋭い目で睨んでくるが、涙だらけのその顔では何も怖くないし、怒ったり追い出す気も失せてくる。
酷いも何もただ普通にお菓子をつまんだだけな訳で。まぁ不審者紛いの者だとしても、人の分を何も言わずに食べてしまった…んだとしたら、ほんの少し申し訳ないような気もしないでもないが)


「……ぅゆ………？」


(この人物がただの不法侵入者だったり不審者なのか、実際に復讐屋の先輩なのか分かりはしないが、貴方は良心が多少痛んだのと本当に先輩だった時まずいのもあって、代わりというか、お詫びというか…カフェオレでも淹れる事にした)

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