お疲れな貴方に、少しの癒しを

ハイドの場合。2(雨降る館にて登場予定) ページ12

「……。…はぁ」


(ハイドは貴方の自室に、ため息をつきながら再び現れる)


「………」


(まぁ、貴方は書き物をしている途中で寝てしまい、机に突っ伏した状態でいるので、ハイドの存在には気がついていないだろうが)


「…先程の…特製の紅茶のおかげで、もうすっかり寝ていらっしゃいますね」


(少し姿勢を低くし、寝ている貴方の顔を横から見るような体勢になると、そんな事を言う。
「特製の紅茶」とは、少し前にハイドが貴方に飲ませた、異様に薄い紅茶の事のようだ)


「……ここの主として頑張っているのは、感心するのですがね。別に」


(低くした姿勢を元に戻し、寝ている貴方を冷たい瞳で見下ろせば、次にハイドは貴方を簡単にだき抱える)


「…そのせいで貴方様が体調を崩しでもしたら、私の責任になってしまうのですよ」


(そう言いながらハイドは、なるべく揺れぬようにベッドの方へ向かう)


「…徹夜して体調を崩すなんて自業自得だとは思いますが、ただ…そんな事が起きぬようにするのが、…私の仕事です」


(ハイドは貴方を丁寧にベッドに降ろし、静かに毛布をかけた。…もちろん無表情ではあるが)


「……。…だって私、執事ですから。……貴方の為だけの。」


(相変わらずの感情のなさそうな、酷く冷たい瞳と声だったが、ようやく口だけは少し笑って呟けば、ハイドは姿を消した)

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