とある転生の最強少女-Cheat Girl- (ページ34)

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最強という名の弱者ページ34

「何言ってンだオマエ」

ゆっくりと立ち上がりながら、一方通行が静かに、それでいて強く、言う。

「殺したくなかっただァ？ハッ、三十一人殺したクソ野郎が言う台詞かよ？」

空を見上げる一方通行の顔はしゃがんだままの上条には見えなかった。

「俺は自らアイツ等を殺した。人殺しなンだよ、俺は」

上条が知る一方通行は自分に絶対の自身を持つ、最強と呼ぶに相応しい人物だった。
それはあくまでも上条個人の印象だ。だが。

「自分が〝無敵〟を目指すキッカケになったモノを、〝無敵〟になるために自分で壊した」

コイツは誰だ。上条はそう思った。

「馬鹿みてェだろ？誰かを傷つけないように俺から遠ざけよォとして無敵になろォとしたのによォ。
　無敵になるまでの過程で殺したンだぜェ？自分に言い訳してまでさァ。情けねェわ」

はは、と自虐的に笑うこいつを。
こんなに弱々しく言葉を紡ぐこいつを。

「過去に行けるなら、あン時の俺を殴り飛ばしてェくらいの屑だ」

今にも泣き出しそうな表情の彼を、誰が『学園都市最強の超能力者』だと思えるのか。

その姿は最強とはかけ離れた、弱い一人の人間にすぎなかった。

「…聞きたくもねェだろォがよ。正直、溜め込んでて辛いンだよ。だから…聞くふりでイイから、
　付き合ってくれねェか」

今にも壊れそうなその表情を見た上条は、無言で頷いた。

-あとがき-
突然のあとがきコーナー。
本編の補完といいますか、言い訳といいますか、そんな事をつらつらと書いていきます。

まず、一方通行の性格というか行動について。
原作の一方通行ならまず過去なんて語らないだろうと自分でも思っています。

が、この作品での一方通行は原作よりも殺した数は少ないですが、原作以上に追い詰められた状態になっています。
鈴科がから告げられた〝一万三十一人を殺した自分〟の事を考えたり、
自分が始めてから断っていれば。初めから気づいていればと考え続けているうちに
自分で自分を追い詰めているんです。

ですから、自分を倒して妹達を救った〝ヒーロー〟の上条なら
人殺しである自分の言葉も、真面目にとはいかないまでも聞き流すくらいならしてくれるだろうと
僅かな期待と共に呼び出したんですよ。

ここの一方さんは上条さんに自ら望んで倒されましたからね。
実験の時も、上条さんを殺すつもりはなかった…と思います。

一方通行…自分で書いといてなんですけど幸せになってほしいです。原作以上に。